Tag: リハビリテーション

ROM-Ex.が逆効果になることも

生活期にある方の場合に
ポジショニングを適切に行い
リラクゼーションを実施して
それからP-ROM-Ex.をするように心がけています。

意外に知られていないようですが
可動域制限がある方に対して表面的にP-ROM-Ex.をするだけだと
逆効果になってしまう場合が多々あります。

急性期と異なり、生活期にある方は
どのような障害があったとしても
必ず持っている能力を使って暮らしています。

問題は
身体の適切な使い方を指導される機会が少なく
暮らしの必要性に迫られて
「する」「できる」ことを
必死になって実行しようとして
過剰代償に陥っていることも多く
その結果、能力が不合理に発揮されてしまっている場合が少なくありません。

障害と能力のプロであるリハスタッフは
養成過程から
見た目のできないことと、能力の過剰代償によるできなさとの
区別をつけられるような観察と洞察が可能になる
一番近道にいる職種だと考えています。

 

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認知症治療病棟の身体リハ

私は今精神科の認知症治療病棟で勤務していますが
必要であれば、身体面のリハも行います。

骨折手術後の方
CVA後遺症のある方
エピソードはないけど移乗動作などに困難のある方。。。

とりわけ、ものすごく多いのが
移乗時に腰が引けて膝が伸びず重心が後方に落ちてしまう方
(後日改めて記載しますが)

重度の認知症のある方でも
移乗動作は楽になる方が大勢いらっしゃいます。

でも
筋力強化やROM-ex.は基本していません。
(橈骨神経麻痺の方など必要な方にはしますけれど)

入院期間との兼ね合いはありますが
ゆっくりできる方には、じっくりと積み重ねていきますし
できるだけ早期にもといた施設に戻られる方やご家庭に戻られる方には
評価と対応の工夫の明確化を中心に行なっていきます。
つまり、つなげるリハを意識しています。

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基本の習得=意味理解

目の前の対象者に
適切なスプーン操作ができるためには
スプーン操作の基本が習得できている必要があります。

なぜか
ここをすっ飛ばしてしまう人がいるんですよねぇ。。。
「寄り添った食事ケアを」と言いながらも。。。

摂食・嚥下5相を理解した上で
・食塊認識を確認できる
・スプーンをまっすぐ正面に差し出すことができる
・スプーンを奥に入れすぎずに下唇or前舌を操作できる
・上唇を丸めて取り込むことを促すように操作できる
・スプーンは斜め上に引き上げずに水平に引き抜くことができる
・一口量を調整できる

できるということは
意味の理解もできているから
行動として常に実行できるということ

摂食・嚥下5相という言葉を聞いたことがある、知っている
という人は多いと思いますが
自身のスプーン操作を摂食・嚥下5相と結びつけて
なぜそうしてはいけないのか、なぜそうする必要性があるのかを
理解している人は、残念ながらそう多くはありません。

自身のスプーン操作を摂食・嚥下5相と結びつけた理解ができていないから
目の前の対象者の食べ方を摂食・嚥下5相と結びつけた観察ができないのです。
自身のスプーン操作と他者のスプーン操作の違いすら認識できないのです。
スプーン操作の違いがどれだけ対象者の食べ方に影響を与えるのか想像もできないのです。

逆に言えば
そこを学べば変われるということです。

自身のスプーン操作を
摂食・嚥下5相と結びつけた理解の上で修正習得できるようになれば
対象者が必死になって食べようとしていることを身に染みてわかるようになります。

「ちゃんと食べてよ」
という言葉の残酷さを痛切に感じるようになるでしょう。

「認知症のある方も食べられるようになるスプーンテクニック」
という本には基本的なスプーン操作とその意味が具体的に記載してあります。
ここまで実践的に基本操作とその意味が記載されている本は他にありません。

摂食・嚥下5相と結びつけたスプーン操作の基本を習得することは
対象者の食べ方の評価の入り口に立てることを意味します。

基本は大切

高い志を掲げるのなら、なおのこと

 

 

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適切なスプーン操作は評価の入り口

適切なスプーン操作ができないと
対象者の方の準備期を阻害してしまいます。

準備期の過剰適応・誤学習が
口腔期を混乱させ
咽頭期を低下させてしまいます。

逆に言えば
適切なスプーン操作ができれば
対象者の方の本当の食べるチカラを現前させることができます。

ここからが本番

対象者の方の食べ方をよく観察すれば
食べることの困難と能力を洞察できるようになります。
(ただし、知識があればの話です)

食べることの困難と能力を洞察できるようになれば
どうしたら食べやすくなるのか
どうしたら今の状態でも食べられるようになるのか
長期的な見通しとともに今すぐにできることが自然と浮かび上がってきます。

だから
具体的にどうしたらいいのかがわかる

最初に
「〇〇という状態の方には、△△したら良い」があるわけではありません。

適切なスプーン操作ができることが
評価の入り口に立てるということなのです。

 

 

 

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嚥下5相は連続している

人の身体は
解剖学的にも生理的にも連続性があります。

嚥下5相は
それぞれの相が前後の相と関連しあっています。

あまり知られていないようですが
「飲み込みが悪い=咽頭期の問題」とは限りません。

準備期の不合理な能力発揮
つまり不適切なスプーン操作に代償的に適応した結果
口腔期の能力低下を来し
ひいては咽頭期の能力低下を来してしまう
ということは実は珍しいことではありません。

(続く)

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食事介助は準備期の協働

食事介助において
スプーン操作って想像以上に重要です。

ちょっとしたスプーン操作の違いで
食べやすくもなり
食べにくくもなります。

対象者の食べようとする働きを
促しもするし
阻害してしまうことすらあり得ます。

なぜなら
介助者のスプーン操作とは
対象者にとっては
嚥下5相準備期の協働を意味するからです。

(続く)

 

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頸部後屈位の方への対応

「認知症本人と家族介護者の語り」ディペックス・ジャパン

頸部後屈は誤嚥しやすい肢位だ
という知識があっても
実際の食事場面で
「あ、頸部後屈してる」と気がついても
どうしたら良いのかわからない、教えてもらっていない
という人はすごく多いのではないでしょうか。

お年寄りや認知症のある方、脳卒中後遺症で生活期にある方に
「首を起こしてね」と言ったり
枕を当てたりしても
後屈位が解消されず
「マズいことだ」と感じながらも
その現実を改善するためにどうしたら良いのかわからないと
とても怖いですよね。

そのような時には
頸部を前屈させようとしてはいけません。

頭部の重さを支えてあげてください。

介助者の手掌で支えながらの介助は疲れてしまうし
どうしても前屈させてしまうような力が入ってしまうので
手掌で支えるのではなく
介助者の前腕で対象者の頭部を支えてあげてください。

そうすると
対象者の後屈方向への力が抜けてきて
頸部中間位になってきます。

頸部後屈位で拘縮してしまったように感じる方でも
動きを感じられるケースがかなり多く見られます。

詳細は
「介護人材」という雑誌の特集「介護施設の『食』を考える」
イラスト入りで記載してありますのでご参照ください。

 

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食事訓練に愛用中:アイスの実

全介助の方の食べ方の評価として
小さな氷片もよく使います。

歯の上にのせて
咀嚼の様子を観察できるし
スッと溶けやすいので安全です。

その延長で
食べ方の訓練として使うのがこちら
アイスの実

丸ごとは大きすぎる時には
2〜3つに切り分けて使います。

いろんな味があるのも良いところ
対象者の好きな食べ物・手続記憶として馴染みのある味を選べます。

適度な固さと崩れかたが絶妙なバランスで成り立っています。
ちょっと努力すれば食塊として崩れるけど
努力を続けないと崩れ続けてくれないという。。。

咀嚼にパワーはあまりいらないけれど
咀嚼そのものは促される。
促された結果として明確な「美味しさ」のフィードバックがある。
自然と舌で味わうことによって口腔期の働きを促しやすくなります。

食事全介助の方は
1回にそんなにたくさんは食べられないから
小袋の中に入っている個数で調整できると衛生管理上でも助かります。

前は3種類の味のミックス版があって重宝してたけど
今はないのかな?
復活したら良いなー。

 

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