Category: ホントにあった体験談

介助で変わる!お年寄りの食事

イメージ_スプーンADL車いす全介助、食事も全介助、意思疎通困難で唸り声をあげるCさん。
ADL車いす全介助、食事も全介助、発語も発声も困難なDさん。

Cさんは、お食事の時に舌を前にぐーっと突き出して食塊をとりこみます。
Dさんは、下顎を前にスライドし受け口のようにして食塊をとりこみます。

このような方に口腔機能訓練なんてできようはずもありません。
けれど、この食べ方は仕方ないのか…といえば、そんなことは決してありません。

お2人とも、毎日の昼食時、おやつ時に食事介助をしただけで
3ヶ月後には、上唇をつかったとりこみができるようになりました。

この現実は、いったい何を示しているのでしょうか?

重度の認知症のある方も学習している!環境適応している!のです。

不適切な介助に適応しようとして、不適切な食べ方をしていた。
適切な介助に適応しようとして、適切な食べ方ができるようになった。

認知症のある方の食べ方は
その方の能力と障害と特性を反映しているだけではなくて
こちらのありようをも映し出している…。

ちょっと相当こわいことです。

と、同時に希望を強く感じた体験談。でした。

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普通のおばあちゃん?

 

イメージ_猫以前にこんな体験をしたことがあります。
Aさんという方が総合病院から転院してこられました。転院サマリーには「普通のおばあちゃんです」という記載がありました。
お会いしてみると、うーん…普通??? HDS-Rをとってみたら9/30点でした。

このテの話題には事欠きません(^^;
まだまだ、認知症=BPSD(認知症の精神行動症状)、認知症=ヘンなことを言ったりしたりする人、という誤解が根強くあるのだと感じています。

Aさんは、会話ができます。
できますが、言われたことに答える…という感じです。
(お食事ですよ。食堂へ行きましょう)
「はい。ありがとう。」
(お手洗いに行きましょうか?)
「はい。お願いします。」
その場の会話は成立します。生活に密着した事柄の言語理解もできます。
けれど、記憶の連続性は低下しているので
(さっきお手洗いいきましたよね?)
「あら?そうだったかしら?」
(お食事が済んだら歯磨きしましょうね)
と言われたのに、忘れてそのまま座っていたり…といったことがみられます。

病院や施設など職員が日課を動かしているようなところだと、Aさんのような方の認知症の中核症状が、職員に気づかれにくいのだと思います。
けれど、普通のおばあちゃんだからといって、普通に退院をすすめられて、はいはい…とご自宅に戻ったら、さぁ大変!ということになっては困ります。
少なくとも、専門家と呼ばれる私たちには、適切に状態を把握できることが求められているのではないでしょうか。

認知症という言葉そのものは、ずいぶんたくさんの方に知られるようになってきていると思います。ですが、認知症という状態の適切な理解については、まだまだ不十分なことも多いのでは?と感じています。

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