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課題集団の扱いは要注意

実際の臨床の現場では

課題集団が圧倒的に多いように感じています。

みんなで体操をしたり

みんなでちぎり絵をしたり

 

課題集団の良いところは

構成メンバーが課題集団への参画を理解できていると

集団凝集性が高まり

共通する目的達成のために協力しあう…という

社会の良い面を活かすこともできます。

 

逆に、

案外、自覚されていないままに使われているように感じていますが

構成メンバーが課題集団への参画を

理解できていないままに実施すると

共通する目的達成を優先するために

個々の能力と特性よりも求められている行為に従う

…という面が色濃く出てきてしまいます。

 

段階付けとして、工程ごとに役割分担としておこなう

…という方法も多いようですが

基本的にはこれも同じだと感じています。

表面的には、役割分担として「できた」部分があったにしても

実際には、ご本人はしんどい思いをされていたりもします。

何故なら、周囲に合わせる…ということはさんざんしてこられたから

そして、自分自身のためではなくて

誰かのため、何かのために

努力してもできていたことができなくなってくる

喪失体験の渦中に今も尚生き続けているからです。

 

認知症のある方で

課題集団参画への理解が可能な方もいらっしゃるでしょうけれど

そうでない方にとっては

良かれと思っての提供が結果的にであったとしても

ご本人に辛い思いをさせてしまうことにもなりかねません。

 

課題集団として○○というAct.での場面での言動を評価する時には

提供したAct. という表面的な場面だけでなく

課題集団としての枠組みそのものが規定している「場」というものを

振り返ってみることも重要だと感じています。

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平行集団の活用

同じ時間と同じ場を共有しているけれど

取り組んでいる作業は人それぞれ

…という平行集団を活用しています。

 

その人の能力と障害と特性に応じて

段階付け、場面設定もした上で「場」を共有する

そこは1つの疑似社会となります。

 

いろんな人がいろんなコトをいろんなやり方でしている

という体験をすることができます。

 

個々の人が失敗しないで作業が行えるように工夫しているし

同じことを同じやり方で行うわけではないので

比較することもされることもないし

 

「場」がとても豊かになるのを実感できます。

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「難しいなぁ…」

あんでるせん手芸の1工程

広告紙を半分に折って手で切る

 

「カンタンそうに見えたけど難しいなぁ…」

 

こう言われたら、どう答えますか?

 

半分に折るためには

紙の端と端を合わせる必要があるし

紙を切る時には、切り込みの入る直前が一番力が必要で

その後は力じゃなくて

両手で均等に引っ張り合うことが要請される

 

これらの運動感覚を

手続き記憶として

身体が思い出せるまでには時間と反復が必要です。

その間、失敗ばかりしていたら嫌になっちゃいます。

 

こういう時に「ガンバって」と言うのではなくて

その人ががんばれるように

場面設定ができることが大切なんだと思う。

 

私たちが当たり前のようにできてしまっていることの複雑さ

そういったことを思い知らされる毎日です。

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ちぎり絵の工夫

塗り絵は、かなりお年寄りに対して使われているAct.のようですが
実際には、複数の下絵から対象者が選んで行う…という対応が多いようです。
場面設定、段階付けがもっと細やかに為されるといいのにな…と感じています。

塗り絵については、「よっしーずボイス」の下記記事をご参照ください。
「下絵の大きさ」 http://kana-ot.jp/wp/yosshi/214
「下絵の用意」 http://kana-ot.jp/wp/yosshi/197
「下絵の工夫」 http://kana-ot.jp/wp/yosshi/196
「幼稚な画題はNG」 http://kana-ot.jp/wp/yosshi/194

ここからは、「ちぎり絵の工夫」について、場面設定のことをご説明します。
たぶん、事前に和紙を色ごとにちぎってケースに入れておくという準備をしている方は多いと思います。
ちぎり絵の工夫

でも、お年寄りで手指の巧緻性、協調性が低下している方って結構いらっしゃるんです。
まして、このような創作作業からは遠ざかっていた…というケースがほとんどです。
評価として、身体能力低下という判断を下す前に、この「やり慣れていない」ということを配慮してほしいな…と常々思っています。
認知症のある方は、日々喪失体験を重ねておられます。
その過程において、最低限の身の回りのことはしても、それ以上のことから遠ざかることがあっても決して不思議はありません。
私たちが初めて新車を運転する時の「違和感」のようなもの、それ以上のものを感じておられるのではないでしょうか。

ちぎり絵は和紙を使うと仕上がりがキレイにできますが、和紙の1片をつまむ…ということが案外難しかったりするものです。
軽く、素材からの抵抗感がほとんどないので、ひとかたまりの和紙の中から1枚だけつまみあげるということが難しいのです。
「何回いっても、和紙をまとめて持ち上げてしまう」
という状態像は、認知症からくるものではなくて、身体的な困難さから生じている場合もあります。
ちぎり絵の工夫

そんな時には、この写真左側のように、タオルの上に和紙を1片ずつ置いておきます。
タオルと和紙との摩擦により、和紙をつまみ上げる時に抵抗感が生じるのでしっかりとつまめるようになります。
また、和紙がタオルの上に並んでいるので色味を一目で確認しやすくなります。

そして、ちぎり絵の下絵といえば、塗り絵と同じように枠線だけ描かれてあるものを用いることが多いかと思いますが、時には、写真右側のように塗り絵の見本をカラーコピーして使ったりもします。
「対象を想起し、その対象の色を紙で再現していることを行っているのだ」という短期記憶が(この場合は、ナスの色を紙で再現している)落ちている方でも、下絵の色と同じ色を貼っていくという工程をおこなうことはしやすいです。

塗り絵は色を創り出すことによって対象を再現するという課題です。
創り出す過程を楽しめるのなら良いのですが、往々にしてその過程を楽しめているかどうかの判断よりも、ただ単に色を塗ることはできるかどうかという判断によって塗り絵が提供されているケースが多いように感じられてなりません。

そのような方には、塗り絵を続けるよりも、ちぎり絵のほうが適切な場合もあります。
色を創り出すことは紙に任せてしまえるからです。
和紙には微妙な濃淡の違いがあるという素材の特性を活用できます。
あまり深く考えずとも、結果として微妙な色合いの変化が起こって作品の仕上がりがキレイになります。

既に色のついている下絵を使用すれば、和紙の貼り残しがあったとしても目立ちません。
かえって色合いの変化という良い面が生じる結果となります。
ちぎり絵の工夫

和紙だけでなく、100円ショップで売られている折り紙でも濃淡のある折り紙を使用してもよいでしょう。

作品としての仕上がりが美しいかどうかは対象者の方自身がしっかりと感じられることです。
せっかくがんばっておこなったのに仕上がりが今1つでは、どんなに周囲の職員から褒められても満足度は高くないのではないでしょうか。

単にできるかできないかではなくて、より容易に行いやすいように、より仕上がりのキレイなものになるように、私たちができる準備はたくさんあるように感じられてなりません。

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丁寧な段階づけの工夫を

段階付け…という言葉ってもう死語になってしまったのでしょうか?
「何をしたらいいのでしょう?」
と聞かれることはあっても
「どのようにしたらいいのでしょう?」
って、あんまり聞かれないかも(^^;

同じ1つの課題でも素材や方法や場面設定を工夫することで
いろいろな状態像の方ができるようになります。

丁寧な段階づけの工夫をむしろ、既に知られていたり、市販されている課題で何の工夫もしないでできることのほうが少ないと思います。

工夫をする…ということこそが大事

たとえば、おなじみの「毛糸モップ」
県士会サイト:INDEX > OT Tips & PDF > 作業療法Tips > 手工芸Tips > 「毛糸モップ」

何の工夫もしないでできる方もいるかもしれませんがこの方法でできない…からダメ!ではなくて作業療法士としては、ぜひ、ひと工夫を!

丁寧な段階づけの工夫をたとえば…
「毛糸モップの工夫」
県士会サイト:INDEX > OT Tips & PDF > 作業療法Tips > 手工芸Tips > 「毛糸モップの工夫」

お年寄りの方
とりわけ、認知症のある方は
過去、嫌という程、失敗体験や喪失体験を重ねてきて
今もなお、その過程の中におられます。

毛糸をハンガーに結びつけるということを初めてするのですから
方法を覚えるというコトの難しさ+手指の協調性、巧緻性の低下という
短期記憶と身体能力という心身両面の困難に同時に直面することになります。

この場合にえてして
「うまくできない」という体験が
老化による協調性や巧緻性の低下という身体能力の低下なので
焦らずじっくりとやってみよう…とならずに
漠然とした「なぜかうまくできない」体験にとどまり
焦りや不安感を引き起こし
「こんなこともできなくなってしまった」
という認識になってしまいがちです。
ちょっとしたやりにくさ
…というものが大きな阻害因子となってしまいます。

丁寧な段階づけの工夫を短期記憶が低下している方に
初めての課題を導入する時には
身体的な要素への配慮が必要です。

単に「できる」「できない」ではなくて
「よりラクにできる」
「よりカンタンにできる」
そんな丁寧な方法を工夫できるのは私たち作業療法士ならでは…だと思います。

課題の選択に敏感になるのはもちろんですが
課題の工夫ということも、とても大きな課題だと考えています。

対象者の能力と困難と特性の把握ができて
初めて可能なことなのですから。

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「頭の体操」文字を使ったパズル

今までのは1人でもできる頭の体操問題。

こちらは複数で楽しむ頭の体操問題です。

まず自分の「持ち色」を決めます。 

場に出ている「文字/漢字」を組み合わせて「言葉/熟語」を考え

答えられた人は自分の色の短冊を1枚めくることができる。

早く自分の持ち色の短冊をめくり終わった人が勝ち…というゲームです。

詳細は下記コンテンツをご参照ください。

「作業療法Tips&PDF >文字を使ったパズル」 

http://kana-ot.jp/wpm/tips/post/123

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「頭の体操」強育パズル

子ども向けに開発された算数パズルですが

問題は答えから式を導き出す構造で

複数の問題の組み合わせから成り立っている

同時並行課題となっているのがミソ。

「強育パズルVOL1たし算パズルA初級編」
「強育パズルVOL2かけ算パズルA初級編」
著者:宮本哲也 
(株)Discover21 
その他にもたくさんのパズル本を出版されています。
http://www.d21.co.jp/
「宮本哲也」もしくは「強育パズル」で検索してみてください。 

下記コンテンツでも紹介しました。
「作業療法TiPS&PDF>強育パズル」
http://kana-ot.jp/wpm/tips/post/119

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「頭の体操」イージーキューブ

玉手箱よりも難易度は高いですが

幼稚には見えないし

扱いやすい大きさで

問題の上に直接ピースを置いて試行錯誤できるのがミソ。

Act.をためらいがちな男性陣にポイント高し。

詳細は下記コンテンツをご参照ください。 

「作業療法Tips&PDF>イージーキューブ」

http://kana-ot.jp/wpm/tips/post/121

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