Tag: 評価

認知症治療病棟のOTの役割

IMG_0945

認知症治療病棟でのOTの役割は
1)ADLの維持・向上
2)能力と特性の発揮の機会提供
3)生活障害・BPSDの軽減
だと考えています。

1)ADLの維持・向上としては
一番重点を置いているのが、食事と移動です。
食事は今まで何度も繰り返しこちらでも投稿してきたとおり
多くの場合に、介助を変えることで食べ方が変わります。
もともと認知症のある方が骨折してしまった場合や
CVAを発症してしまった場合などには
できるだけ元の移動能力に戻れるように
あるいは最低限拘縮は作らずに
できるだけ良い身体機能を維持しておくことは
とても大切だと考えています。

2)能力と特性の発揮の機会提供とは
適切なActivityを選択し、適切な場面設定を構築することです。
たとえ年老いたとしても認知症になったとしても
自分の本質は変わらないのだと再体験できる場があることが
認知症のある方にとってもご家族の方にとっても大切です。

3)生活障害・BPSDの軽減に
OTだからこそ、寄与できるコトがたくさんあります。
それは、こちらでもたくさんの投稿をしてきました。

1)〜3)のいずれも
認知症のある方の「障害」と「能力」と「特性」を評価できるから
OTとしての「役割」が遂行できるのだと考えています。

* もしも「評価」が心もとない方がいましたら
是非「認知症セミナー@合同会社gene」の記事をご参照ください。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1606

非習慣的遂行機能の評価

「非習慣的遂行機能の評価」

当院に実習に来る学生さんには、遂行機能の評価は習慣的遂行機能と非習慣的遂行機能の2つを評価するように指導しています。
でも認知症の病態が進行してくると、非習慣的な遂行機能評価の「使えるバッテリー」がないのです。
正確に言うと、現存する非習慣的な遂行機能評価バッテリーは要求水準が高すぎて、中等度・重度の認知症のある方には実施できないのです。
そこで、たとえ標準化されていなくても「評価」ができるツールを考えようと思いました。
それがこちらです。

非習慣的遂行機能の評価

「この線の上にシールを3枚貼ってください」という課題です。
もうすでに、講演等で紹介してはいますがより多くの方に知っていただこうと思ってご紹介します。

用意するものは、写真にあるように、真ん中に太い線をくっきりと引いたA4用紙1枚とシール数枚。
写真ではシールがたくさんありますが、通常はシールは6枚提示しています。
その場の言語理解が可能であれば、HDS-R0/30点の方でも行えました。
この課題のオススメは、日々の暮らしの場面で失敗体験を重ねている認知症のある方にとって失敗やわからないという不安を想起させにくい。いかにも「テスト」「検査」という雰囲気が少ないということです。
また手指の巧緻性の低下があっても、シールを「貼る」だけなら失敗もしにくい。
認知症のある方にとっては「紙に○を書く」よりも「丸いシールを貼る」ほうがずっと心理的抵抗感は少ないものです。
それでいながら遂行機能の「意図・計画・立案」「実行・評価・修正」「目標保持」の過程を明確に評価することが可能です。

「線の上にシールを貼る」のは、線の真上に並べて貼っても良いし、重ねて3枚貼っても良い。
線の上の方の空間にシールを貼っても間違いではありません。
肝心なことはそれらのうちどの方法を選択したのかということです。
なかには、どの方法を選択すべきか確認する人もいるかもしれません。

そして指示した枚数よりも多めにシールを用意しておくというのがもう1つのポイントとなります。
3枚で貼り終えることができるのか、それとも「3枚」を忘れてしまって用意されたシールをすべて貼ってしまうのかが観察ポイントになります。

一見単純に見える「ツール」ですが、人によってさまざまな結果を見せてくれます。
もちろん、私は日常生活での行動観察を重視していますが、認知症のある方の非習慣的な遂行機能障害が明確になることによって、日常生活での暮らしの困難がどういうものであったのかより明確になり、ひいてはどのような援助が適切なのか具体的に考えることができるようになります。

当院では重度の認知症のある方が多いので、このような形で実施していますが、もう少し軽度の方であれば課題を複雑にするように工夫できると思います。

認知症のある方に心理的抵抗感がより少ない方法で、重度の認知症のある方の非習慣的遂行機能障害を評価できる「ツール」としてご紹介しました。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1611

セミナー案内「認知症対応」

IMG_0521

平成27年4月12日(日)東京 日本印刷会館にて
合同会社geneさん主催で
「リハスタッフのための認知症のある方への評価から対応まで」
というテーマでセミナーが開催されます。

評価をどのように対応に結びつけていくか
生活障害やBPSDについてはモチロン
骨折手術後のリハでよくあること
Activityを提供する際にどんな風に考えたらよいのか
また、場面設定での留意点など
事例を紹介しながら具体的にお話いたします。

詳細・お申し込みはこちらから
http://www.gene-llc.jp/seminar_info/?id=1421723012-628240

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1503

セミナー案内「認知症評価」

IMG_0518

平成27年5月3日(日)名古屋市中小企業振興会館にて
合同会社geneさん主催で
「リハスタッフのための認知症のある方への対応入門
〜評価のすすめ方〜」というテーマで
セミナーが開催されます。

認知症のある方を目の前にした時に
「評価の重要性」はわかってるけど
じゃあどうやって評価をしたらいいのか、わからなくて困っている
自分は何となく評価できるけど
後輩や新人さんに具体的に言語化して伝えることに困難を感じている
という方にオススメします。

認知症という疾患や障害の知識を
行動観察にどのように活用するのか
能力を見いだすとは、どういうことなのか
事例を紹介しながら具体的にご説明いたします。

詳細・お申し込みはこちらから
http://www.gene-llc.jp/seminar_info/?id=1421724876-280074

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1502

倫理・道徳ではなく知識と技術で

IMG_0945

私の講演内容は
現在は珍しいかもしれません。

認知症のある方への対応について
「優しく」「楽しく」「親切に」「相手を否定しない」等の
ギョーカイでよく言われているようなコトは一切言いません。

認知症は脳の病気によって
さまざまな暮らしの困難が引き起こされます。

決して寂しい病でも、構ってほしい病でもありません。

対人援助職としての基本は必要ですが
倫理・道徳的な態度だけで
脳卒中後遺症のある方の
運動麻痺やADLが改善するわけがないのと同様に
倫理・道徳的な態度を極めても、それだけで
認知症のある方の暮らしの困難が改善するわけがないのです。

必要なのは知識と技術であり
いかにそれらを日々の暮らしの中で活用できるのか
ということが問われているのだと考えています。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1510

「評価」のセミナー

IMG_0446

11月2日(日)に
合同会社geneさん主催で
http://www.gene-llc.jp
「認知症のある方への対応-入門編-評価のすすめかた」
のセミナーで講演をしてきました。

お忙しいなか、ご参加くださったみなさま
どうもお疲れさまでした!

「認知症」は脳の病気によって
慢性・進行性の障害が引き起こされるのですから
まずは、障害と能力の評価をしようということと
評価手順の提案についてのお話をしました。

私の話が
何とかしなくちゃ。。。と一生懸命なスタッフの
助けになるのであれば
ひいては、認知症のある方とご家族の
余分な困難や苦しみが緩和することになる。

それは、私にとっては本当に嬉しいことです。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1425

ソレはソレ、コレはコレ

ちょっと待った

その場の会話の理解が良かったり
言葉で意思表示が明確にできると
記憶や遂行機能も保たれていると誤解されがちです。

ソレはソレ
コレはコレ

言語理解力や言語表現力はソレとして
記憶は記憶
遂行機能は遂行機能として
評価しないと適切な対応ができなくて
結局そのツケは
認知症のある方が払うことになってしまいかねません。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1419

名古屋に行ってきました

IMG_0446

8月2日(土)は
「ケアスタッフのための認知症のある方への食事介助」
8月3日(日)は
「リハスタッフのための認知症のある方への対応と工夫」
というテーマで合同会社geneさん主催のセミナーで講演してきました。

合同会社gene
http://www.gene-llc.jp

3会場とも受講された方が
みなさんとても集中して聴いてくださったので
すごくお話しやすかったです。
どうもありがとうございました。
お疲れさまでした。

合同会社geneさん主催のセミナーでは
今までの「認知症のある方への対応と評価」を
今後は「入門編」「臨床編」「食事介助編」と
3つに再編して開催することになりました。

3つを網羅したカタチでの認知症セミナーは
10月5日(日)の大阪会場が最後となります。
お時間がありましたら是非お越しくださいm(_ _)m

詳細はこちら
http://www.gene-llc.jp/seminar_info/?id=1397528085-960059

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/1352