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「座るー立つ」観れども観えず

実は、健常と呼ばれている私たち自身が

腰部の筋を収縮させることによって 臀部を持ち上げているのです。

観てればわかるし

やってみればわかる

けれど、そこに注意を向けなければわからない…

常識を鵜呑みにする人にはわからない…

 

身体を前傾し、足裏からの床反力を使って立ち上がれるのは

膝と股の屈曲角度が鈍角になる

スツールのような高いイスに座っている場合です。

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「座るー立つ」現状への疑問

立ち上がり方については

昭和大学で開催された

第12回神奈川県作業療法学会のワークショップはじめ 

いろいろな研修会や勉強会で説明していますが

巷でよく言われているような 

「身体を前傾して足の裏を意識してふんばって立つ」

という方法は

実はあんまり適切ではないのではないかと考えています。

臀部が接地した状態で いくら上体を前傾しても

この肢位での重心は

足底からの垂直線上より後方にあるので 

床反力を利用したら後方へ倒れるしかありません。

それでは立ち上がれないので

たいていの対象者の方は立ち上がるために 

腰部の筋を収縮することによって臀部を浮かしています。 

(あまり療法士によって明言されることはないようですが) 

実は、ここが分水嶺になると考えています。

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「座るー立つ」体験談

老健での体験談です。 

車いすで移乗自立の方 。

もちろん、リハで立ち上がりや筋力強化を実施。

それなのに、段々と移乗困難になってくる…

巷では、このようなケースに対して 

廃用によるADL低下、筋力低下によるADL低下と

盛んに言っていますが

本当にそうでしょうか?

もし、そうだとしたら

何故、上述のようなケースが何例もあるのでしょうか?

老健ですから、1日の生活の中で移乗動作は何回も行われます。

その上、「専門家」がトレーニングしているのです。

もしかしたら、廃用や筋力低下が原因ではないのではないか?

自然とそういう考えが浮かびました。

 

立ち上がり困難になった方に対して

筋力強化などはまったくせずに

前回書いた方法論を用いて

 「座り方の練習が大事」
  http://kana-ot.jp/wp/yosshi/244

 「座るー立つ 同時に練習」
  http://kana-ot.jp/wp/yosshi/245

もう1度立ち上がれるようになったケースを数多く体験しています。

実際の現実的方法論の検討はもちろんのことですが

これらの現実が指し示す意味が重要なんだと考えています。

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「座るー立つ」時間を有効に

1人のリハ時間が20分

限りある時間の有効活用をしたいものです。

よく見かけるのが

がんばって立ち上がる練習はしても座り方には無頓着。

ふんばってがんばって立ち上がって

ドシンと後方へ倒れ込むように座る…という方法

そんなの時間がもったいない!

前回、書いた方法は

立ち上がりには立ち上がりなりの

座り方には座り方なりの意義があります。

「20分しか時間がないからできることは限られてしまう」

そりゃあ確かにそうなんですけど

まずは20分みっちりきっちり工夫して

それから初めて言える言葉だと思うんだけどな(^^;

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「座るー立つ」同時に練習

 

立ち上がれない人には

立ち上がりを「がんばらせずに」 全介助。

ただし、重心の移動方向には気をつけて 

座る時には「がんばって」 練習。

ドシンと後方へひっくりかえるような座り方ではなくて

音がしないで滑らかにそーっと座れるように

全介助で立ち上がりがんばって座る。 

できないことを過剰努力でがんばらせるのではなくて 

できないことは感覚入力だけしっかりしておきながら 

関連動作でできることのできかたをよくしていく

そうするとできなかったことがまがりなりにもできるようになり

できかたの改善をすることができる

…と考えています。 

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座り方の練習が大事

立ち上がり…って、リハでよくやる内容の1つでしょう?

でも、座り方を練習する療法士ってあんまりいない。

とっても大事なことなんだけど(^^;

だって

立ち上がれない方でもとりあえずは座れるでしょう? 

どんな座り方であれ 

まずは 

よりよく座れるように練習します。

音がしないように静かに滑らかに座れるようになると

立ち上がり方も上達しています。 

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なかなか立ち上がってくれない方

時々いると思います。

身体能力的には立ち上がりも自立、独歩もできるのに

(お食事だから席に座り替えてほしい)

(お風呂だから立ってほしい)

そういう時に声をかけてもなかなか立ち上がってもらえない

身体は動くはずなのに…。

そんな時に無理矢理全介助で立たせるのではなくて

どうしたら立ち上がっていただけるのか

…を考えて工夫したい。

「無理矢理立たせるのはダメ」

って言うんじゃなくて

「こうしてみたらどうかしら?」

って具体的に提案を。

その提案の根拠としての

対象者の能力と障害と特性を言語化しながら。

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ADL

私が疑問に思うこと

えてして

リハやケアの現場では

「その人らしく」ということと「ADLの介助」が切り離されがち

その人らしく=レクや手工芸やお話などの時間をとってすること

ADLの介助=できることはしていただきできないことを介助する

ADLの介助にこそ、

その人らしく…ということが問われると思うんだけどな

ADLの訳は「日常生活動作」だけど

現実には、ADLって「動作」じゃなくて「行為」だもの。

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