Tag: ADL
お年寄りに対して
筋力強化を主体としたリハを行うということは
「個々のパーツの能力の総和=身体能力」
という考え方に基づいています。
でも、それは本当でしょうか?
身体は常に全体として 総体として働いています。
身体のあるパーツの能力が
低い時には低いなりに
高い時には高いなりに
身体は常に総体として働いている。
それなのに
筋力強化を主体とするということは
逆に言えば、
総体として働いている身体を
無自覚であったとしても
否定してしまうということを意味します。
抽象的な「正常な身体」を 勝手に設定して
そこからの引き算として
お年寄りの現状をとらえる
…という考え方は
いろいろな人生経験をしてこられたお年寄りの生き方までも
暗に否定してしまうことにもなりかねません。
判断基準が「正常な身体」であるならば
追い求めているのは「正常化」ということです。
それは、はたして、
「その人らしさを大切にする」と言えるでしょうか。
「お年寄りを尊重する」と言えるのでしょうか。
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実は、健常と呼ばれている私たち自身が
腰部の筋を収縮させることによって 臀部を持ち上げているのです。
観てればわかるし
やってみればわかる
けれど、そこに注意を向けなければわからない…
常識を鵜呑みにする人にはわからない…
身体を前傾し、足裏からの床反力を使って立ち上がれるのは
膝と股の屈曲角度が鈍角になる
スツールのような高いイスに座っている場合です。
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立ち上がり方については
昭和大学で開催された
第12回神奈川県作業療法学会のワークショップはじめ
いろいろな研修会や勉強会で説明していますが
巷でよく言われているような
「身体を前傾して足の裏を意識してふんばって立つ」
という方法は
実はあんまり適切ではないのではないかと考えています。
臀部が接地した状態で いくら上体を前傾しても
この肢位での重心は
足底からの垂直線上より後方にあるので
床反力を利用したら後方へ倒れるしかありません。
それでは立ち上がれないので
たいていの対象者の方は立ち上がるために
腰部の筋を収縮することによって臀部を浮かしています。
(あまり療法士によって明言されることはないようですが)
実は、ここが分水嶺になると考えています。
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老健での体験談です。
車いすで移乗自立の方 。
もちろん、リハで立ち上がりや筋力強化を実施。
それなのに、段々と移乗困難になってくる…
巷では、このようなケースに対して
廃用によるADL低下、筋力低下によるADL低下と
盛んに言っていますが
本当にそうでしょうか?
もし、そうだとしたら
何故、上述のようなケースが何例もあるのでしょうか?
老健ですから、1日の生活の中で移乗動作は何回も行われます。
その上、「専門家」がトレーニングしているのです。
もしかしたら、廃用や筋力低下が原因ではないのではないか?
自然とそういう考えが浮かびました。
立ち上がり困難になった方に対して
筋力強化などはまったくせずに
前回書いた方法論を用いて
「座り方の練習が大事」
http://kana-ot.jp/wp/yosshi/244
「座るー立つ 同時に練習」
http://kana-ot.jp/wp/yosshi/245
もう1度立ち上がれるようになったケースを数多く体験しています。
実際の現実的方法論の検討はもちろんのことですが
これらの現実が指し示す意味が重要なんだと考えています。
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1人のリハ時間が20分
限りある時間の有効活用をしたいものです。
よく見かけるのが
がんばって立ち上がる練習はしても座り方には無頓着。
ふんばってがんばって立ち上がって
ドシンと後方へ倒れ込むように座る…という方法
そんなの時間がもったいない!
前回、書いた方法は
立ち上がりには立ち上がりなりの
座り方には座り方なりの意義があります。
「20分しか時間がないからできることは限られてしまう」
そりゃあ確かにそうなんですけど
まずは20分みっちりきっちり工夫して
それから初めて言える言葉だと思うんだけどな(^^;
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立ち上がれない人には
立ち上がりを「がんばらせずに」 全介助。
ただし、重心の移動方向には気をつけて
座る時には「がんばって」 練習。
ドシンと後方へひっくりかえるような座り方ではなくて
音がしないで滑らかにそーっと座れるように
全介助で立ち上がりがんばって座る。
できないことを過剰努力でがんばらせるのではなくて
できないことは感覚入力だけしっかりしておきながら
関連動作でできることのできかたをよくしていく
そうするとできなかったことがまがりなりにもできるようになり
できかたの改善をすることができる
…と考えています。
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立ち上がり…って、リハでよくやる内容の1つでしょう?
でも、座り方を練習する療法士ってあんまりいない。
とっても大事なことなんだけど(^^;
だって
立ち上がれない方でもとりあえずは座れるでしょう?
どんな座り方であれ
まずは
よりよく座れるように練習します。
音がしないように静かに滑らかに座れるようになると
立ち上がり方も上達しています。
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時々いると思います。
身体能力的には立ち上がりも自立、独歩もできるのに
(お食事だから席に座り替えてほしい)
(お風呂だから立ってほしい)
そういう時に声をかけてもなかなか立ち上がってもらえない
身体は動くはずなのに…。
そんな時に無理矢理全介助で立たせるのではなくて
どうしたら立ち上がっていただけるのか
…を考えて工夫したい。
「無理矢理立たせるのはダメ」
って言うんじゃなくて
「こうしてみたらどうかしら?」
って具体的に提案を。
その提案の根拠としての
対象者の能力と障害と特性を言語化しながら。
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