Tag: リハビリテーション

臨床あるある(昔とった杵柄は要注意1)

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多かれ少なかれ経験している人は少なくないと思います。

昔とった杵柄
手続き記憶の活用
としてActivityを選択する。
あるいは認知症のある方から「やってみたい」「昔は好きだった」と言われて提供する。

ところが、実際にやってみたら
上手にできない。ほとんどOTRがやっている。表情も険しくなる。怒り出す。。。etc. etc.

認知症の状態が軽い方であれば、こういうことは少ないかもしれませんが
ある程度進行している認知症のある方には要注意なんです。
昔とった杵柄は意味がないというわけでは決してありませんし
病状が進行した認知症のある方はActivityができないというわけでもありません。
(HDS-R0/30点の方でも、いわゆる「意味のある作業」が遂行可能な方もいます。
個人的にはあんまり使いたくない言葉ですけど ^^;)

ただし、「要望を聞く」「やりたいと言ったことをやる」という観点でしか対応できないと
結果として、認知症のある方に逆効果を招きかねません。
(認知症という病態を考えれば当たり前のことなんですが。。。
このことに関しては後日詳述します)

認知症のある方は
一日暮らすだけでも、日々さまざまな困難に遭遇し
失敗体験や喪失体験を重ねていることも少なくありません。

プラスアルファとしてのActivityで
失敗体験や喪失体験の反復・強調体験を
たとえ、結果的にであったとしても、させてしまうことだけはないように
どんなに気をつけても気をつけ過ぎることはないと感じています。

ヒポクラテスが言ったように
「まず、第一に患者を傷つけないこと」

良かれと思ってスタートするのではなくて
悪いことをしないように気をつけながらスタートする

これは私の流儀ですから、別に周囲は関係ないのですけれど
昨今の風潮を眺めていると、ちょっと声高に言いたくなる時もあったりします (^^;

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講演@CM 県西地区

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昨日、県西地区のケアマネージャーさんに
「認知症のある方の状態をどう把握するか」という内容でお話をしてきました。

お忙しい中、参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。
窓口となってくださったYさん、どうもありがとうございました。

私の今日のお話が、ケアマネさんのこれからのお仕事に役に立つように
ひいては、認知症のある方とご家族の方の余分な困難が少しでも少なくなることに寄与できるとしたら
私は本当に嬉しく思います。

実は、今回、どのポイントでお話をするか…ということで、ちょっと悩みました。

基本的にお伝えしたいことは
どんな方が対象であったとしても同じですが
伝え方や伝える内容は対象となる方によって変えています。

ケアマネさんだから
直接業務ではなくて状態把握が主なお仕事だと考えて
・視点の転換:能力があるからこそ生活障害やBPSDが起こる
・状態把握:事例を通して説明
・意外と知られていないコミュニケーションの工夫
といったあたりに的をしぼってお話してみたけどどうだったかなぁ?

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注・車いすブレーキ延長

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ほとんどの人が気をつけているとは思うので老婆心ながら。。。の記事です (^^;

車いすのブレーキを延長しようとして、ラップの芯をブレーキに差し込むことってよくありますよね?

たいていはそれで問題が解決するけど
たまに、かけたはずのブレーキがはずれてしまう。。。ということはありませんか?

そういう時に、車いすを使う方がうまく力を入れられなくてはずれちゃうんだろう。。。と判断する前に
念のために確認することも大切です。

たとえば上の写真。
ブレーキをかけたはずなのに、はずれてしまいます。

で、確認してみると。。。

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ちょっと見にくいかも。ですが、元のブレーキレバーはこういう状態でした。
あぁ、納得!
これでは、はずれてしまいます。

延長した筒状のものは、斜めにささっているので
斜めの筒を後方に倒しても、中にある元のレバーには後方への力が伝わりにくいんです。

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そこで提案としては
延長する筒状のものが斜めに倒れなければ、中のレバーに力がちゃんと届くので
例えば、この写真のように内側に切れ込みを入れたり
もしくは、斜めの筒の内側に粘土か何かを詰めて筒がまっすぐに立つように工夫をしたり
ということをしておけばOK☆

お金をかけずに、手元にあるもので工夫することって大切ですけど
その工夫が有効に機能しているかどうか
最後まで確認することも大切ですよね。

あらためて
PDCAをきちんとまわすことの大切さ
地味なことだけど、当たり前のことを当たり前にすることの大切さ
を思いました (^^)

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菅先生のご講演に希望と可能性が

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先日開催された小田原歯科医師会主催の研修会で
鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座の菅武雄先生のご講演を拝聴しました。

大変明解でそれでいて先生の対象者のためにというお気持ちが伝わってくる
とても素晴らしいご講演でした。
先生のご講演を伺うことができて本当に良かったと思います。

中でも、先生と歯科衛生士さんが開発された「口腔咽頭吸引」という方法は
唾液誤嚥のある方にも「食べる」可能性を切り開く大きな技術だと感じました。

私は唾液でムセなければ重度の認知症のある方でも食べられるようになる。とは確信していましたが
唾液でムセてしまうような方には経口摂取をチャレンジできていなかったので
もし、この技術を習得できれば経口摂取への可能性がぐんと広がります。

横浜では、もう口腔咽頭吸引が当たり前になっているとのこと
素晴らしい実践が当たり前に展開されていると聴いて驚きました。

これはもう勉強するしかありません!

これからに希望と可能性を感じられるご講演でした。

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研修を消費しない

ちょっと待った

DFJ Summit 2016 に参加して思ったことは
「明日につなげる」工夫をちゃんと取り入れているとことでした。

2日間の日程のうち、半日しか参加していない私が言うのもナンですが
締めのセッションで「Action計画」として、これからどうするのか
自分で考えて小グループで発言・共有化して最後に全員の前で発言。という進行。

前日のセッションのグループワークの結果が張り出されていたのですが
そこに「じゃあどうしたらよいか」を考える書式になっていたり。

本当にそこが大事。ですよね。

時折、研修は研修で、日々の臨床は臨床で、と切り離してる人がいる。
「あーよかった。良い話を聴けてよかった」でおわり。
明日からの臨床はそれはそれ。

研修のはずが、なんか「感動させてくれる」「楽しませてくれる」「よかった感にあふれる」ショーみたいになっちゃう。という。。。

あれれ?

研修を消費してしまっては、もったいない。です。

大切な中身を届けるためには、表現の工夫は大事。
どんなに良い中身でも聞いてもらえなければ、まさしくハナシにならない。

でも表現が刺激的だったり、笑いっぱなしだったり、過剰だったりすると
中身が通り過ぎてしまうことがあるんじゃないかと。
本末転倒という。。。

私は今、いろんな立場に立ってお仕事をしています。
時には、裏方の企画・運営
時には、講師として
時には、参加者として

立場が変わることで視点も変わり、それぞれ別の異なる立場への配慮もできるようになるので
これは役得だなーと感じています。

明日につながるような
研修を企画・運営したいし
そんな話を届けたい。

そういう心構えをカタチにする工夫の一端に触れることができたのも良かったです (^^)

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象徴的なできごと@実習

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学生を実習でお引き受けすると
必ず、実習開始直後に
学生さんの在りようを明確に示すような象徴的なできごとが起こります。
そして、実習終了する頃に
もう一度明確に示すような象徴的なできごとが起こるのです。

すべての言動には意味があるし
その言動には、学生さんの能力も困難も特性も現れているから
考えてみれば当たり前なのですが。。。

だから
実習開始直後に起きたできごとは
私が実習指導をするにあたり心構えを作ってくれるものになり
実習終了間際に起こったできごとは
いわば「卒業試験」みたいな意味合いをもつものなのです。

象徴的なできごとは明確に起こりますが
一見すると些細なできごとでもあります。

象徴的なできごとを受け取ることができるためには
私たちに明敏さが求められると感じています。

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無事終了!食事介助の研修会@小田原

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平成28年8月30日(火)に
小田原保健センターにおいて開催された
県西地区のケアマネージャーさんの団体「OHMY」さん主催の
研修会「本当に怖い食事介助〜あなたが知らない分かれ道」で
講師を務めてきました。

一時は迷走台風の直撃か、と焦りましたが
無事に終了することができて本当に良かったです (^^)

参加してくださったみなさま、おつかれさまでした m(_ _)m
運営に携わられたOHMYのみなさま
中でもEさん、Mさん、お世話になりました。
どうもありがとうございました m(_ _)m

人の食べ方はいろいろで
結果として現れる「口を開けてくれない」「ためこんでしまう」という
食べにくさの状態もいろいろです。

でも、なぜか
万人に通用する方法
「こうしたら口を開けてくれる」「ためこみがなく食べられる」
があると思われている。。。
認知症のある方の生活障害やBPSDに対して
「こうしたらよい」
があると思われているのと同じコトが起こっています。

まず、何がその人に起こっているのか確かめることから始まります。

現状では
確かめられることなく「食べさせる」ことに終始してしまう。
仮に確かめられたとしても心理社会的側面に終始してしまう。
だから
認知症のある方の食べることの困難を改善することもできないし
介助者が辛い思いをするような現状を改善することもできないのだと考えています。

だったら、私たちが的確に確かめることができれば良いだけなんだと。

これは、今すぐにでもできることです。

なぜなんでしょうか?
私たちは今すぐにできることをせずに
どこかにあると思っている、でもそんなのあるはずがない魔法の杖を探している。
そして困り続けている。。。

いろんなトコロで
いろんなカタチで
でも同じコトが起こっているように感じられてなりません。

8月7日の大阪での食事介助の研修会に参加された方から
続々と対象者の方の変化や職場の変化についてご連絡が届いています。
本当に嬉しいことです。

私たちが変われば
認知症のある方の食べ方が変わります。

認知症のある方も
介助される方も
お互いがラクな食事場面に変わります。

そのコトを伝えられる機会をいただき本当にどうもありがとうございました。

会場の関係で、ご質問へのお答えが途中になってしまったことが気になっています。
ご質問してくださった方、もしよかったら、メールください。

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おかしなコト:言葉と概念

ちょっと待った

私はOTですが
同じOTギョーカイにおいて
時々、えー???って思うようなコトに遭遇します。

「作業療法を知らない人に説明するのは難しい」

以前に学生から
こんな言葉を聞いて「はい〜?」って思ったことがあります。

おかしな理由 その1:
どんな仕事なのか、どんなことをするのかといった説明は
知らない人にこそ、するものであって
知っている人にそんな説明は通常しません (^^;

医師に対して「どんなことをするんですか?」とは聞かないでしょう?
教師に対して「どんなお仕事なんですか?」とも聞かないでしょう?

相手が知らないからこそ、説明するんだけどな。

おかしな理由 その2:
学生であれば、当然、作業療法を一人前に実践なんかできないわけで
つまり、自分ができない、わからないことをまず自覚してほしい。。。

私もかつて学生の時に
高校時代の友人から、「作業療法って何?どんな仕事?」って尋ねられて
ちゃんと答えられずに定義を言ってみたり (^^;
テキトーなことを言ってみたりしていましたけど
少なくとも一般化はせずに
「私は作業療法をわかっていないんだ。だから説明できないんだ。」
って恥ずかしく思っていたものです (^^;

つまり、学生が堂々とこんなおかしなことを言えてしまうのは
周囲の作業療法士が学生に言っている可能性が高いんですよね。。。

「作業療法は説明しにくい仕事だから」
とかなんとか (^^;

学生が実習前は「認知の人」「高次脳の方」なんて言わなかったのに
実習から帰ってくるとそんな言葉を使い始めるとか。。。 (^^;
ある養成校の教員から聞いたことがあります。

素直な?学生に、R(有資格者)が変なコトを吹き込むのはやめてほしいなぁ。
今の学生が、将来の日本の作業療法という世界を背負って立つんだから
きちんと育てないとマズいんでないかい?
プラスの方向で育てられないなら
少なくともマイナスになるような言動は慎むべきだと思うけど?
将来のある学生に対して
高みに眼を向けさせるのではなくて
自分のレベルに引き摺り下ろしてどうするんだろう?

ちなみに
冒頭の学生には、にっこり笑ってこう言いました。
「自分がちゃんとわかってないと説明できないよね」

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