Act.工程説明の留意点

あんまり言語化されていないと思いますが
認知症のある方にActivityを提供する時に
工程を説明します。
実はその時にポイントがあります。

それは
視覚的な情報を中心にするのか
聴覚的な情報を中心にするのか
運動的な情報を中心にするのか
説明の力点をどの情報を主体として提供するのか
ということです。

どの感覚が理解しやすいのか
こちらが把握できていれば
Act.の場面でその都度説明したり声かけをしたりお手伝いをしたり
という必要がほとんど少なくなって
認知症のある方自身で援助を受けることがほとんどない状態で
Act.に取り組むことができるようになります。

えてして
Act.の場面において
対人援助職たる私たちは
「援助を受けながらでも〇〇できる」ことを善しとしがちですが
認知症のある方にとって
〇〇という作業をしながら、もう一方で他者の説明を聞いて理解して行動修正する
というような同時並行課題は負担の大きいものです。

他職種の人たちに
「これならカンタンだからできるんじゃない?」と言われることもよくありますが
認知症のある方の近時記憶障害、構成障害、遂行機能障害などの有無と
その程度を把握していると、とてもそんな風には思えません。
必死になって一生懸命やろうと向き合っているのがよく伝わってきます。

たとえ
援助を受けながらでも、何か作り上げることができたとしても
それってどうなんだろう?
作っている最中の手応え、充実感、そんな感情を味わうことができたのだろうか?

私の脳が認知症のある方の手を動かさせているような状態は、私は絶対イヤです。

認知症のある方の脳と、認知症のある方の手と、対象たるAct.とが
たとえ、どんなに小さくてもしっかりと1つのループを作っているような場
そういう場を作り上げるためには、説明ってとても大切。

どの感覚を主体として説明するのか
それは、その人がどの感覚を理解しやすいのか
その評価を根拠に判断しています。 

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