Tag: コミュニケーション

ツールは活用する

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世にさまざまな方法論がありますが
ツールはツールなのに
ツールが万能であるかのように喧伝されるのはどうかと思う。

世の中の多くの動きと同じように
リハの世界にも、流行り廃りがある。

ツールをツールとして活用できることは大切だけど
ツールを目の前の人に当てはめちゃいけない。

目の前にいる人の困難に遭遇した時に
自分の手にしているツールでは対応できないからといって
眼を背けていいのかな?

私は完全には困難の解消ができなくても
困難が少しでも少なくなるような方法を考えたいと思った。
そのツールで目の前にいる人の困難が軽減できないのであれば
軽減できるツールを求めたいと思った。
そして、その過程において
自分の目的としている在りようとの自己検証を繰り返した。

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できかたを良くする

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できることのできかたを良くする

認知症のある方の
さまざまな生活障害やBPSDへの対応の工夫を考える時に
私が重要視している視点です。

生きている限り、必ず能力はあるから
まず、能力を見いだす。
見いだした能力を活用できるように考える。
できることのできかたを良くしていくように考える。

認知症のある方の
手続き記憶を思い出し再学習する
その人自身の能力と特性を否定しない
使役ではなく援助
相互関係論であるICFと矛盾しない
等々の基本的な在りようと
具現化するための視点と方法論として
相互検証を繰り返して
耐え残ったものなのです。

単に良かった、結果が出た…ということではなくて
どこがどんな風に意義があったのか考え続けてきました。
自分はそうしたかった
もっと言うと
自分自身の在りようとして
納得した上で仕事をしたかったんです。

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食べさせても、食べられるようにはならない

我慢のしどころ

食べさせても
食べられるようにはならないどころか
逆効果にしかなりません。

無理矢理食べさせられたことによる
ネガティブな感情だけは積み重なっていくし
より一層誤った食べ方を身につけてしまいます。

今まで
さまざまな食べ方の困難を抱えた方に出会ってきました。

口を開けてくれない
ためこむ
吐き出す
口のまわりが食べこぼしで汚れる
うまく口の中に食塊を入れられない…etc.etc.

このような方に
どうやって「食べさせる」のかを考えても
「食べられる」ようにはなりません。

どうしたら「食べる」ことの援助ができるのかを考えれば
「食べられる」ようになります。

栄養をとっていただくために
脱水にならないように
そのための技術が
「食べさせる」「飲ませる」しかなければ
必死になってそうするしかないのだと思う。
「食べることの援助」「飲むことの援助」
という知識があれば
援助という知識と技術を求めることができる。

食事介助の困難改善の第一歩は
自分がどっちを向いているのか
軸足を、視点を、今一度明確に自覚する
…ことから始まります。

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講演@特養ほなみ

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今日は小田原市内にある
介護老人福祉施設 芳徳の郷 ほなみ さんで
「食事介助」に関する講演をしてきました。

介護老人福祉施設 芳徳の郷 ほなみ さんのサイトはこちら。
http://www.shofukai.com

昨年の「認知症のある方への対応の工夫」に引き続き
今年もお招きくださいまして、どうもありがとうございます。

私は、食事介助には本当にリキ入れて関わっていますし
1人でも多くの方に伝えていきたいことなので
このような機会を作っていただけたことに
深く感謝申し上げます。

勤務終了後のお疲れの時間帯にも関わらず
参加してくださったみなさま、お疲れさまでした m(_ _)m
みなさまがすごく集中してお話を聴いてくださったので
私もお話のしがいがありました。

認知症のある方の
介入前後のお食事中の動画を見ていただくことは叶いませんが
本当にたくさんの方の食べ方が良くなるので
そのことは是非1人でも多くの方に知っていただきたいと
思っています。

本当はスプーン操作の実技ができると一番良いのですが…。

特定の施設や団体の主催ではなくて
どなたでも参加できるような研修会が開催される時には
こちらでも告知しますので、是非ご参加をご検討ください m(_ _)m

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正しさではなく適切に

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認知症のある方への対応で
誤解されていることは諸々あれど
たとえば
「正しいケア」「正しい介助」

正しい…って、いったい何に照らしての正しさなんだろう?

正義や常識は
時代によって場所によって
異なっているし変化もする。

正しいケアでも
目の前の人に不適切な対応になることって
幾らでもある。

たとえば
「おみ足を上げてくださいませ」
という言葉は丁寧な言葉で
敬語で接するという意味では正しいかもしれないけど
生活歴の中で「おみ足」という言葉を
聞いたことがなかった人にとって
その言葉は適切だったんだろうか?

大切なことは
目の前にいる方の役に立つことであって
スローガン通りに実践できるようになることとは違う。

正しい=適切
というケースだってあるだろうけど
教科書に書いてある、あるいは研修で言われた正しいケアを
目の前の人に当てはめることではない。

適切かどうかは
その時その場のその関係性において
関わっている人が判断するしかない。

それだけの厳しさを対人援助職は背負っている。

その厳しさから逃れるために
正しさというお題目にすがってはいけない。

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理解ではなく表現を促す

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認知症のある方が大声を出したり落ち着かない時に
どういう気持ちなのか理解しようとする

そんな対応が多いようですが
あんまり効果的じゃないと感じていませんか?

実は
理解するよりも先に
どういう気持ちなのか
相手に表現してもらう方が先
なんです。

その結果
私たちが理解することができる。
ということなんです。

フツーに考えてみてください。

言いたいことが思うように言えない
という気持ちを抱えている時に
勝手に推測された対応をされることが嬉しいですか?
なんだかなぁ…とは思いながらも
相手に悪くてそれ以上は黙ってしまったり
ということがありませんか?

言いたいことが
言えるように
言いやすいように
聞いてもらった方が嬉しくないですか?

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対応の誤解 1−Ad

我慢のしどころ

何をしていたか…というと
まず、最初に私たちは
相手が怒鳴っていると自然と怒鳴りたくなる傾向がある
という自覚をしておくことだと思います。
つまり、相手の声の調子や大きさに影響を受けてしまいやすいんです。

相手が怒鳴っている時ほど要注意。
その口調に影響されないように気をつけます。

かといって
基本的には、相手の口調からあまりにも離れ過ぎた口調
たとえば、先のケースで言うと
非常に冷静に淡々とした口調だと
相手が自分のことを「受けとめてくれていない」という
感情を抱いてしまいがちです。
そのあたりは、付かず離れずといった気持ちでまず始めます。

相手の口調と表情に常に注意を払いながら
相手の言っている言葉の感情・感覚を意識しながら
返事をします。
ここがポイントです。

そして
相手が十分に感情・感覚の表現をされたことを確認してから
こちらのお願いを伝えます。

この順番が大切なんです。

多くの場合、相手の感情・感覚にもとづく言語表現を
尋ねることもなく
また、こちらが応答することもなく
そして、促すこともなく
最初にいきなり、こちらのお願いを伝えていることが
多いように感じています。

先の例で言えば
「ここではお寿司は出ないんですよ。
お昼ご飯はカレーライスです。」

あるいは
何を言っているのかの自覚もなく
「本当に申し訳ありません。
ご希望に添えずに申し訳ありません。」

もしかしたら
その人が言っている「6つ」の意味を確認もせずに
「6つなんて持ってこれませんよ」

Discommunicationの自覚なく
Discommunicationをしてしまっている
そしてそのことに気がつけない。

だとしたら
認知症のある方は
何とか伝えようとして
ますます大きな声で強い口調で繰り返し
言える言葉で「言う」しかなくなってしまいます。

それって本当に
暴言?大声?BPSD?

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対応の誤解 1−Ac

我慢のしどころ

たとえば
すごくイライラした強い口調と大きな声、険しい表情で
「はやく6つ持ってこいって言ってるんだよ!」
と繰り返し怒鳴っている方がいるとします。

さて、どうしますか?

 

 

 

ーーーーーー答えは、この下をスクロールしてくださいーーーー

 

 

 

 

 

まず、ふだんのこの方の状態を思い出します。
ふだんはそんなにイラつく方ではありません。
その場の疎通も可能な方です。
このような場合は、まず率直に尋ねます。

 

「6つって何を持ってきてほしいのですか?」
相手の口調に影響されないように
かといってあまりにもかけ離れた口調にはならないように
少しだけ笑顔を浮かべて
あんまり冷静になりすぎない、少し張った声で、でもおだやかに言います。

「寿司だよ!寿司を6つ!」
まだ口調はイライラしていますが、ちゃんと応対してくれています。

「寿司かぁ!寿司はいいですねぇ」

「そうだろう」
ちょっと口調がおだやかになってきました。

「寿司ネタは何がいいですかねぇ」
相手の口調と同じトーンで答えます。

「そうだなぁ。マグロ!」
「マグロですかぁ。いいですねぇ!」
「マグロも赤身、中トロ、大トロとありますが
どれがお好きですか?」
「そりゃあ、大トロだよ」
このへんで口調はすっかり穏やかに
笑顔もみられるようになっています。

「大トロいいですよねぇ。美味しいですよねぇ」
ちょっと間を置いてから
「〇〇さん、大変申し訳ありません。
ここではお寿司が出ないんですよ。
堪忍してくださいね。」
「あぁ、そうなんだ。じゃあいいよ。」
「ありがとうございます。
今日のお昼ご飯はカレーライスの予定です。
ここのカレーライスも美味しくて評判なんですよ。」
「そう。それは楽しみだね。よろしくね。」
「はい。承知しました。少々お待ちください。」

以後、イラつくことなくおだやかに
過ごされていました。

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