Tag: コミュニケーション

対応の誤解 1−Ac

我慢のしどころ

たとえば
すごくイライラした強い口調と大きな声、険しい表情で
「はやく6つ持ってこいって言ってるんだよ!」
と繰り返し怒鳴っている方がいるとします。

さて、どうしますか?

 

 

 

ーーーーーー答えは、この下をスクロールしてくださいーーーー

 

 

 

 

 

まず、ふだんのこの方の状態を思い出します。
ふだんはそんなにイラつく方ではありません。
その場の疎通も可能な方です。
このような場合は、まず率直に尋ねます。

 

「6つって何を持ってきてほしいのですか?」
相手の口調に影響されないように
かといってあまりにもかけ離れた口調にはならないように
少しだけ笑顔を浮かべて
あんまり冷静になりすぎない、少し張った声で、でもおだやかに言います。

「寿司だよ!寿司を6つ!」
まだ口調はイライラしていますが、ちゃんと応対してくれています。

「寿司かぁ!寿司はいいですねぇ」

「そうだろう」
ちょっと口調がおだやかになってきました。

「寿司ネタは何がいいですかねぇ」
相手の口調と同じトーンで答えます。

「そうだなぁ。マグロ!」
「マグロですかぁ。いいですねぇ!」
「マグロも赤身、中トロ、大トロとありますが
どれがお好きですか?」
「そりゃあ、大トロだよ」
このへんで口調はすっかり穏やかに
笑顔もみられるようになっています。

「大トロいいですよねぇ。美味しいですよねぇ」
ちょっと間を置いてから
「〇〇さん、大変申し訳ありません。
ここではお寿司が出ないんですよ。
堪忍してくださいね。」
「あぁ、そうなんだ。じゃあいいよ。」
「ありがとうございます。
今日のお昼ご飯はカレーライスの予定です。
ここのカレーライスも美味しくて評判なんですよ。」
「そう。それは楽しみだね。よろしくね。」
「はい。承知しました。少々お待ちください。」

以後、イラつくことなくおだやかに
過ごされていました。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2182

対応の誤解 1−Ab

我慢のしどころ

A:「じゃあ、認知症のある方の言動を否定しないとして
どうしたらいいのでしょうか?」

Q:それは
認知症のある方の感情や感覚にそって
受け答えをすると良いと思います。
事実関係について真偽を伝える…ということが
適切なケースもあるとは思いますが
基本的には、事実よりも
そのように受けとめた感情や感覚にそってお話を聴くと
良いと思います。

その場しのぎをするように
ごまかしたり、笑わせたり、気をそらせたり
ということではありません。

暮らしの場面では
その場しのぎだって必要なこともあると思います。

そのような場合には
自分の中でその場しのぎをしていると自覚しながら
その場しのぎをすることが優先されると思います。

普通に考えて
誰だって常に100%完璧完全なことをしながら
暮らしている訳ではありません。

問題なのは
その場しのぎにしか過ぎないことを
適切な対応と誤って認識して
しかもそれらが推奨・流布されていることだと考えています。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2181

対応の誤解 1−Aa

我慢のしどころ

Q:「なぜ認知症のある方の言動を否定してはいけないのですか?」

A:それは
1つには、それらの言動には必ず認知症のある方の
障害だけでなく能力も反映されているからだし
1つには、そうする必然があっての言動なので
(大切なことは、原因ではなくて必然です)
表面的に否定しても必然が解消されないので
もっと強くもっと大きな表現方法でわかってもらおうとする
つまりそれらは非合理的な方法でしか現れない
認知症のある方の大声や暴言という形になって
現れるしかなくなってしまうからです。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2180

対応の誤解 1−Q

ちょっと待った

認知症のある方への対応について
常識のように言われていることでも
実は誤解に基づいて流布されていることって
とっても多いなぁと感じています。

たとえば
「認知症のある方の言動を否定してはいけない」

こんな風に言われたら、確認してみてください。
「なぜ否定してはいけないんですか?」
そしてもっと大切なことは
「じゃあ、どうしたらいいんでしょうか?」

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2179

王道を丁寧に

IMG_0944

横道にそれたり
近道の誘惑に負けたり
時にはそういうこともあるかもだけど
王道を丁寧に
地道に愚直に進んでいけば
自分自身に対して誠実でいられる。

誠実である
という体験をしたことがないと
わからないんだよね。
自分が何をしてるのか。

若いと自分が何者かもわからないから
よけいに焦るのは、わかるけど
(かつての私もそうだった)
やらなきゃわからないことは
やるしかなくて
一見徒労に思えるような時間こそが
将来の土台になっていくから
やるしかない時代がムダにはならない
ということを伝えたい。
(かつての私には誰も伝えてくれなかった)

王道を丁寧に歩むには
若い時のトレーニングが一番
手近かな近道や華やかな横道は
心そそられるかもしれないけど
いつか自分が対象者の側に回った時に
かつての自分が目の前に現れる。
(若いとそんなことまで想像もできないと思うけど)

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2170

(株)geneセミナー「対応」@大阪

IMG_0446

株式会社geneさん主催のセミナーが
2月7日(日)、大阪府社会福祉会館にて開催されました。

認知症のある方への対応の工夫を
単なるハウツーやマニュアルではなくて
ICFの理念にそって
評価と結びつけて考えるという視点でお話しました。

担当してくださったKさん
お世話になりました。
どうもありがとうございました。
Kさんから頂いたメールがきっかけで
geneさんのセミナーでお話できるようになったので
お会いできて本当に嬉しかったです。

参加してくださったみなさま
おつかれさまでした。
1月の評価編から引き続き参加してくださった方も
何人かいらっしゃって、ありがたい限りです。

私は本当に遠回りをしてここまで来ました。
これからの人たちが同じ轍を踏むようなことになっては
もったいない。
認知症のある方とご家族の困難が少しでも減るように
もっともっと対応を工夫できる余地があると考えています。
そのためには、余分な遠回りをするような人が1人でも少なくなり
もっともっと上に積み重ねていってほしいと願っています。

私の提唱している考え方と方法論は
ごくごく当たり前で基本的なものです。
だからこそ有効なのだと自負しています。
どんなツールでも下支えできる王道なるものだと。
(おーっと、言ってしまいました)

知らないために苦労されている方
誤解に基づいた方法論に翻弄されて疲弊している方
努力が足りないのではなくて
努力の方向性が違うだけなのだということを伝えたい。
私たちの側の問題なら
私たちの側で解決できるのだということを伝えたい。

認知症のある方と私たちとの恊働で
日々の暮らしの困難をもっと乗り越えていけるのだと。
そして認知症のある方の能力と
人間の脳の可塑性の凄さに触れる機会は
時に対人援助職としての自分が崩れそうになる時にも
励まし支えてくれる場なのだということを伝えたい。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2162

信頼の重み

IMG_0441

もしも
受け入れるチカラが
自分と他者への信頼にもとづくものであるならば
信頼の重みを改めて思う。

「認知症のある方は忘れちゃうから」「わからないから」
ごまかしたり、ウソを言ったりするケースもあるようですが
なんだかなーと思ってしまいます。

モチロン、そうせざるを得ない事情があったのでしょうし
それ以外の方法論が思いつかなかったからなのでしょう。

今のその場しのぎを
その場しのぎと自覚して行うのなら、まだしも
本来は推奨されるようなものではなくて
推奨すべきは、その場しのぎをしなくてもすむように
より適切な方法論を模索し提案できるようになることだと
考えています。

誰かを信頼する
信頼される
その関係性を継続するには努力がいるけど
失うのは一瞬
そして修復できる時間が残されていない場合だってある。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2161

信頼と受け入れ

IMG_0517

「ゲド戦記」のゲドが言ったんだと思うけど
「持つべき力は、受け入れる力」という言葉がある。
(そのゲドだって、苦闘したことが描かれてる)

受け入れるチカラって
究極は自分と他者への信頼にもとづくチカラのような気がする。

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2153