Tag: 能力

声かけの工夫 距離

指差しながら
「あそこの赤い椅子に座ってください」
で、赤い椅子に座ることができる方もいるけれど

赤い椅子のところまできて
「ここに座りましょう」と手で指し示して
ようやく座れる方もいる。

距離…って大事。

そのココロは…明日!

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能力を把握するための評価を

私たちが用いる「テストバッテリー」は
通常は「障害」を明らかにするために用いられている。
そして「障害」を軽減するためにリハを行っている。

でも、認知症のある方に対して
「障害」を明らかにするためにテストをしても
効果的な援助には結びつかない。

臨床で必要なのは、
「能力」を把握するための「評価」だから。

その過程において
「障害」を把握することで
「能力」が把握できることはあっても

認知症という病気は
その定義上、不可逆的な進行性の疾患だから
今、既にある「障害」を軽減するためのトレーニングは
できない。

大切なことは
今ある能力を発揮すること。
埋もれていて活用されていない能力を見いだすこと。
そのための「評価」ができるようになること。
「検査」ではなくて。

「認知症は難しい」という言葉をよく聞くけれど
難しいのは「認知症」じゃなくて
「検査」以外の「評価」が難しいんじゃないのかな?

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ここにいていいんですか?

ここにいていいんですか?楽しいハズのレクを楽しめない…そういう方は案外多いものです。
いつもと違うことがおこなわれているのはわかる
でも、自分が何故ここにいるのかわからない…。

「ここにいていいんですか?」

私の手をぎゅっと握りしめ
繰り返し繰り返し尋ねてこられた方がいました。
どんなにか不安だったことでしょう。

楽しい場が気分転換や発散になる方も大勢います。

けれど皆が皆そういうわけではありません。

近時記憶の低下や見当識の低下によって混乱してしまう。
もしも、私たちが突然異国のお祭りにタイムワープしたりすれば
きっと同じように感じて落ち着きなく楽しむどころじゃないでしょう。

「ここはどこですか?」
「こんなことしてる場合じゃない。」
「私は帰りたいんです!」

そんな時に
「さぁ、そんなこと言ってないで楽しみましょうよ」
「ほら、あれを観て。おもしろいでしょう。」
と言われてもきっとそれどころじゃないと思う。

それに
大勢でワイワイやることだけが万人にとっての楽しみというわけではないし。

その方の能力と障害と特性にそって
楽しむことを援助するのが私たちの仕事であって
楽しませることが仕事ではない。
少なくとも
その方を困惑させてしまうようなことはしたくない。
たとえ、善意の意図からであったとしても。

その方は
私と出会う以前に
出会って以降も
ずっともう十分に傷つく機会はたくさん遭遇しているのだから。

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ボケちゃえば何にもわからない?

ボケちゃえば何にもわからない?私には、とてもそんな風には思えません。

もちろん、ご家族など周囲の人のご苦労はお察しします。
けれど、認知症のある方が「何にも感じていない」わけがありません。

時間や場所の見当識が低下し
短期記憶が低下し
なぜ、今、自分がここにいるのか
なぜ、今、自分がこうしているのか
わからない…

わからないという自覚や不安を感じるのに
状況の理解ができなくなるという状態が
どんなに辛いことか…

私たちがいきなりタイムスリップして
見知らぬ時代の見知らぬ土地へ連れてこられたようなものなのではないか
と感じることがあります。
何もわからない場所で
よく知らない人たちの間で
生活様式の異なるところで
自分にはよくわからない言葉が交わされる…

私たちにとっては自明の前提が崩れてしまっている状況で
なおかつ、暮らしていくことの困難さ

職業人としての私たちに求められていることは
そのような日々の暮らしの困難を少しでも改善していくことのお手伝い

症状がある…ということは
能力がある…ということ

たとえ、認知症になったとしても
その人らしさは失われない
その人の能力と特性こそが
その人の日々の暮らしの困難を乗越えていく
(逆に言えば、ないものはない。
 ないものねだりはできない
 …ということにもなるのですが。)

たぶん、作業療法士は、職業柄
1番具体的に現実的にそのことが共感できる職種だと感じています。

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