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中核症状とBPSD

中核症状とBPSD認知症の症状には大きくわけて2つの症状があります。
中核症状とBPSDです。

BPSDとは、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略で、直訳すると認知症の精神行動症状になります。
内容的には、徘徊、暴言暴力、介護拒否、異食などの状態像を意味します。
かつて、周辺症状と言われていましたし、その昔は問題行動などと呼ばれていた時代もありました。
1996年に国際的に呼称を統一しようと決定され、以来、日本でも厚生労働省のHPや認知症の人と家族の会でもBPSDという言葉が使われています。

私は時折、地域の公民館などでお話させていただくこともあるのですが
そのような時にもBPSDという言葉を使っています。
すると、必ず頷きながら聞いている方がいるのです。
BPSDという言葉を知らない…という人もいるかもですが、一般の人でも知っている言葉を専門家と呼ばれる私たちが知らない…というのは、ちょっと恥ずかしいことかも。ですね。

一方、中核症状というのは、記銘力低下、抽象思考力低下などの状態像をさします。
SDATアルツハイマー型認知症の場合には、中核症状は必発しますが
BPSDは、ある方もない方もいます。
また、中核症状は重度でもBPSDは軽度だったり、逆に中核症状は軽度でもBPSDは重度ということもよくあります。
このあたりは、身体障害とは異なるところです。
中核症状が軽度の時には、記銘力低下を明確に自覚できるが故に、将来を悲観したり、不安感が高まり情緒不安定になったり、ひきこもったり怒りっぽくなることもあります。
また、そのような時期には周囲に病気としての認識がない場合も多く、本人の性格のせいにされて関係性が損なわれてしまうこともあるようです。

「さっきも同じことを言ったでしょう」
「どうして同じことを言うのかしら」

お気持ちはお察ししますが、このような言葉は百害あって一利無しです。
片麻痺のある方に対して
「どうしてその手は動かないのよ」と言うようなものなのです。
でも、片麻痺のある方に対しては誰もそんなことは言いませんよね。

まだまだ、「認知症=ヘンなことを言ったりしたりする人」という誤解も多く
知識がないために、余分に苦しんだり困惑したりする場合も多いのが現実のように感じています。

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普通のおばあちゃん?

 

イメージ_猫以前にこんな体験をしたことがあります。
Aさんという方が総合病院から転院してこられました。転院サマリーには「普通のおばあちゃんです」という記載がありました。
お会いしてみると、うーん…普通??? HDS-Rをとってみたら9/30点でした。

このテの話題には事欠きません(^^;
まだまだ、認知症=BPSD(認知症の精神行動症状)、認知症=ヘンなことを言ったりしたりする人、という誤解が根強くあるのだと感じています。

Aさんは、会話ができます。
できますが、言われたことに答える…という感じです。
(お食事ですよ。食堂へ行きましょう)
「はい。ありがとう。」
(お手洗いに行きましょうか?)
「はい。お願いします。」
その場の会話は成立します。生活に密着した事柄の言語理解もできます。
けれど、記憶の連続性は低下しているので
(さっきお手洗いいきましたよね?)
「あら?そうだったかしら?」
(お食事が済んだら歯磨きしましょうね)
と言われたのに、忘れてそのまま座っていたり…といったことがみられます。

病院や施設など職員が日課を動かしているようなところだと、Aさんのような方の認知症の中核症状が、職員に気づかれにくいのだと思います。
けれど、普通のおばあちゃんだからといって、普通に退院をすすめられて、はいはい…とご自宅に戻ったら、さぁ大変!ということになっては困ります。
少なくとも、専門家と呼ばれる私たちには、適切に状態を把握できることが求められているのではないでしょうか。

認知症という言葉そのものは、ずいぶんたくさんの方に知られるようになってきていると思います。ですが、認知症という状態の適切な理解については、まだまだ不十分なことも多いのでは?と感じています。

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