人の身体は
解剖学的にも生理的にも連続性があります。
嚥下5相は
それぞれの相が前後の相と関連しあっています。
あまり知られていないようですが
「飲み込みが悪い=咽頭期の問題」とは限りません。
準備期の不合理な能力発揮
つまり不適切なスプーン操作に代償的に適応した結果
口腔期の能力低下を来し
ひいては咽頭期の能力低下を来してしまう
ということは実は珍しいことではありません。
(続く)
8月 13 2020
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8月 12 2020
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7月 31 2020
頸部後屈は誤嚥しやすい肢位だ
という知識があっても
実際の食事場面で
「あ、頸部後屈してる」と気がついても
どうしたら良いのかわからない、教えてもらっていない
という人はすごく多いのではないでしょうか。
お年寄りや認知症のある方、脳卒中後遺症で生活期にある方に
「首を起こしてね」と言ったり
枕を当てたりしても
後屈位が解消されず
「マズいことだ」と感じながらも
その現実を改善するためにどうしたら良いのかわからないと
とても怖いですよね。
そのような時には
頸部を前屈させようとしてはいけません。
頭部の重さを支えてあげてください。
介助者の手掌で支えながらの介助は疲れてしまうし
どうしても前屈させてしまうような力が入ってしまうので
手掌で支えるのではなく
介助者の前腕で対象者の頭部を支えてあげてください。
そうすると
対象者の後屈方向への力が抜けてきて
頸部中間位になってきます。
頸部後屈位で拘縮してしまったように感じる方でも
動きを感じられるケースがかなり多く見られます。
詳細は
「介護人材」という雑誌の特集「介護施設の『食』を考える」で
イラスト入りで記載してありますのでご参照ください。
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7月 30 2020
全介助の方の食べ方の評価として
小さな氷片もよく使います。
歯の上にのせて
咀嚼の様子を観察できるし
スッと溶けやすいので安全です。
その延長で
食べ方の訓練として使うのがこちら
アイスの実
丸ごとは大きすぎる時には
2〜3つに切り分けて使います。
いろんな味があるのも良いところ
対象者の好きな食べ物・手続記憶として馴染みのある味を選べます。
適度な固さと崩れかたが絶妙なバランスで成り立っています。
ちょっと努力すれば食塊として崩れるけど
努力を続けないと崩れ続けてくれないという。。。
咀嚼にパワーはあまりいらないけれど
咀嚼そのものは促される。
促された結果として明確な「美味しさ」のフィードバックがある。
自然と舌で味わうことによって口腔期の働きを促しやすくなります。
食事全介助の方は
1回にそんなにたくさんは食べられないから
小袋の中に入っている個数で調整できると衛生管理上でも助かります。
前は3種類の味のミックス版があって重宝してたけど
今はないのかな?
復活したら良いなー。
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7月 29 2020
スーパーで売ってる
かっぱえびせんミニ4
食事訓練に愛用しています。
小袋タイプなので
1袋を1〜2回で使い切ることができるし
4袋入って100円くらいと安価で購入できます。
なんといっても
幅広い年代の方が食べたことのある
パッケージの見た目と味
手続き記憶に残っているから
目で見て舌で味わって
「食べる」を再認しやすいのが良いところ
食事を全介助で咀嚼の能力を発揮してもらいたい時にも
スプーン操作の前段階として「手」を「手」として使う上肢操作の練習として
手で摘んで食べる時にも
どちらにも使えます。
重度の認知症のある方に
食べる練習をする時には
言葉だけに頼った声かけをするのではなくて
体性感覚、とりわけ視覚を意識して伝える工夫が大切です。
だから、パッケージは捨てずにとっておきます。
「〇〇さん、これ食べてみましょうか」
と言う時に、かっぱえびせんのパッケージを見せながら声をかけると効果的
いつでもすぐに使えるように
職場に常備してあります。
私のおやつ用ではありませんよー。
れっきとしたリハ用としてキープしてあります。
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7月 28 2020
学ぶことは変わること
行動変容には時間がかかる
時間がかかる
その変化を待たねば
今までとは異なる回路が機能するようになるまで待たねば
待たねば
この時間はとても繊細な時間
元に戻ったり(古い回路が優勢)
あって当たり前の失敗
不用意な安易な言動とは全く異なる
ここが頑張りどきだと
どんなに心強いだろう
今までとは違うということを
わかってくれる人がいたら
どんなに励まされることだろう
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7月 27 2020
仕事をしていれば
さて、どうしよう?
と思うことはいくらでも巡ってくる
今までの自分からもう一歩成長できるチャンスなんだから
困ることができるのは真摯に仕事に自分に向き合っている証とも言える
今までの自分の見方を広げてくれたり深めてくれたり
一段と深いレベルで再確認させてくれたり
思いもよらぬブレークスルーへの扉だったりする
本当は
自分が困ったと自覚できるもっと前の段階で
何かしらの違和感があったはずなんだけど
自分にとって必要なことはカタチを変えて繰り返し起こる
自分にとって準備ができた時に「困る」という自覚を伴って
起こっていることが明確にわかるようになる
ピンチはチャンス
問題は目の前にあるのと同じように
解決への道筋も目の前にある
見ているだけではわからないことも
じっと観る
観ることができれば洞察できるようになる
そうすると自然と解決策も浮かび上がってくる
そのためには知識を身につけねば
身につけた知識を根拠に観察せねば
安寧のために
目をつぶり
耳を塞ぎ
口からその場しのぎの言葉を紡いでいるうちに
目を見開き
耳をすまし
問いかけるということを忘れてしまう
でもそれは、忘れただけで眠っているだけで失ってしまったわけではない
意図すればもう一度誰でも困れるようになる
困ることすらできない人から脱却できる
ただし
誰かから与えられるものではなくて
天から降ってくるものでもなくて
自らの手の中にあるものだから意思しなければ
学ぶということは
ラクになることではない
学ぶということは
知識や手技を鎧兜のように身につけることでもない
天高く
海深く
たった一人でも
飛翔するための翼を
潜泳するための鰭を
自らに見出す過程なのだと思う
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7月 22 2020
ADLの自立度を維持するためには
例えば立ち上がりや移乗動作を維持するためには
全介助の場面を作ることが必要な場合もあります。
全介助によって身体の働きを高める機会を作る。
身体の働きを維持する、高めるために必要なことは
人によって異なります。
自立度を高めるためには
なんでも一人でやらせれば
一人でやる能力が維持できるとは限りません。
一人でやるだけの身体の働きを保てる
その部分をちゃんと観察・洞察・評価しなければ。
普段の移乗動作は自分一人で頑張ってやってもらって
リハの場面では全介助で両下肢で自重を支えながら抗重力伸展活動を行うことで
普段の移乗動作の自立度が保てる方もいれば
(自立度を保つために介助場面が必要)
普段の移動は杖歩行で自分一人で頑張って歩いていただき
リハの場面では杖を使わずに両下肢での動的バランスの維持を行うことで
普段の移動能力の自立度が保てる方もいる。
(自立度を保つために杖なしというより高い場面設定が必要)
移乗動作の自立度を維持するために一人でやらせれば維持できるわけではなく
移動能力の自立度を維持するために漫然と杖で長時間歩くだけでは維持できるとは限らない。
実際の動作という「カタチ」には
身体の困難だけではなく必然性も含めた身体の「働き」が反映されている
「働き」を観察・洞察・評価できれば
自ずと自立度を保つために必要なことが浮かび上がってくる。
「カタチ」だけ見て
「カタチ」だけ修正しようと
言うのではなく
「カタチ」に反映されている「働き」を観て
「働き」を高める(否定・修正するのではなく)方策を実践できる。
表面的には同じように見えるかもしれないけれど
全く異なる在りようと関与の仕方です。
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