HDS-Rをとるならば:目的

「HDS-Rは認知症のある方を傷つけるからとらない方がいい。って言われました。」

一時期、実習を引き受けた学生さんからよく聞いた言葉です。

その場の会話ができて
礼節が保たれていて
相手へ気遣いして合わせる能力がある人だと
施設や病院に入院・入所中の場合には
通常会話や行動観察から記憶の連続性を判断することが難しかったりします。

職員に「HDS-Rが〇〇点でした」と報告したら
「えーふざけていたんじゃないの?」とか
HDS-Rが一桁の方のサマリーに「普通のおばあちゃんです」と記載されていたり。
そういうことは枚挙にいとまがありません。

冒頭のような学生さんには
「うん、わかった。そしたらどうやって記憶の連続性を確認する?」
と尋ねます。
「HDS-Rをとらなくても記憶の連続性が判断できるならとる必要はない。
記憶の連続性の判断ができないと、適切な援助もできないでしょう?
他の方法で判断できないならHDS-Rをとりなさい。
そして一番大切なことは傷つけるリスクを承知でとった結果を援助に最大限活かしなさい」
と指導しています。

記憶の連続性が〇〇だから
この方に接する時には〇〇するようにしよう

これを考えられるようになるための検査としてのHDS-Rだと考えています。
モチロン、現実には1つの検査結果だけから方向性を決めることはありませんが
方向性を考える時の根拠が曖昧では、その上に積み上げるものも曖昧になってしまいます。 

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