以前にこんな体験をしたことがあります。
Aさんという方が総合病院から転院してこられました。転院サマリーには「普通のおばあちゃんです」という記載がありました。
お会いしてみると、うーん…普通??? HDS-Rをとってみたら9/30点でした。
このテの話題には事欠きません(^^;
まだまだ、認知症=BPSD(認知症の精神行動症状)、認知症=ヘンなことを言ったりしたりする人、という誤解が根強くあるのだと感じています。
Aさんは、会話ができます。
できますが、言われたことに答える…という感じです。
(お食事ですよ。食堂へ行きましょう)
「はい。ありがとう。」
(お手洗いに行きましょうか?)
「はい。お願いします。」
その場の会話は成立します。生活に密着した事柄の言語理解もできます。
けれど、記憶の連続性は低下しているので
(さっきお手洗いいきましたよね?)
「あら?そうだったかしら?」
(お食事が済んだら歯磨きしましょうね)
と言われたのに、忘れてそのまま座っていたり…といったことがみられます。
病院や施設など職員が日課を動かしているようなところだと、Aさんのような方の認知症の中核症状が、職員に気づかれにくいのだと思います。
けれど、普通のおばあちゃんだからといって、普通に退院をすすめられて、はいはい…とご自宅に戻ったら、さぁ大変!ということになっては困ります。
少なくとも、専門家と呼ばれる私たちには、適切に状態を把握できることが求められているのではないでしょうか。
認知症という言葉そのものは、ずいぶんたくさんの方に知られるようになってきていると思います。ですが、認知症という状態の適切な理解については、まだまだ不十分なことも多いのでは?と感じています。
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