Fさんは、いろいろな歌をご存知です。。
その日もBGMにあわせて歌を口ずさんでおられました。
歌い終わったFさんがにっこり笑って一言
「歌えたね」
歌えることに確信をもっていれば、こんな言葉は出てきません。
「私はバカだから」
「なんにもわからないから」
Fさんは、いろいろな場面でそう言います。
認知症のある方は、日々喪失体験を重ねています。
歌うことが好きなFさんは、歌いながらも不安な気持ちを抱いていたんだ…
そう思うと、Fさんの笑顔が胸に迫ります。
「歌えたね」
即答できなかったけれど、
私もにっこり笑ってFさんに言いました。
2 個のコメント
とても素敵なエピソードですね。ありがとうございます。
聞き流してしまいそうなひと言を、ここまで深く洞察したことがありませんでした。
そして、こういった気持ちを表現できる相手として、よっしーさんのことを認めている証拠だなとも思いました。
毎回、楽しみにしています。
mireさん、コメントありがとうございます。
過分なお言葉に面映いような気もしますが…だとしたらうれしいです。
リハ職というのは、障害と能力の専門家だと考えています。
なかでも、作業療法士というのは、日々の暮らしの一コマ一コマを障害と能力において関連づけることのできる専門家だと思うのです。
認知症のある方と接していると
ちょっとした機能の障害によって、ひとつのコトができなくなってしまうということに遭遇します。
それはウラを返せば、
私たちが当たり前のようにしてできていること1つ1つのすごさ、素晴らしさということを思い知らされるということでもあります。
今できていることも、いつか、困難になってしまう日がくるかもしれない
失ってから、どうしたらいいのか「対応を考える」のではなくて
今、できていることを大切にしたい。
そのためにも明敏でありたい…と思っています。
いつもお立ち寄りくださいましてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。