精神科医のH・S・Sullivanの言葉を紹介します。
「verbal therapy はない。あるのは vocal therapy だけで ある。」
精神保健福祉愛知2014
「サリヴァンの非言語的コミュニケーション論とそのフロム=ライヒマンによる発展」
愛知県精神保健福祉センター 保健管理監 藤城 聡
「精神医学的面接とはすぐれて音声的(ヴォーカル)なコミュニ ケーションの場である」
「精神医学とはなによりもまず音声コミュニケーションの問題である。
コミュニケーションとはなによりもまず言語的だという思い込みはきわめて重大な誤りではなかろ うか。
述べられた命題文のほんとうのところが何であるかをおしえるのは、言語にともなう音である。」
「精神医学的面接」みすず書房 1986年
認知症のある方に対しても
通底するところがあると感じ、また考えています。
言葉だけに頼り過ぎたり
言葉をのせる声が威圧的だったり金切声だったり平板だったりすると
言葉が届く前に
声に反応して
拒否という正直な行動で返ってくる。
反応としての行動だから、結果として起こっている反応だけを見て
どう修正しようか、どうなくそうか、と考えても
反応の元を正さなければ悪循環になってしまいます。
声で伝わる。
声が伝えてしまうことがある。
おそらく、認知症のある方への対応の工夫について
声について公言している人はそう多くはいないでしょう。
結果として不適切な「声」で対応していて
不適切な反応としての不適切な言動や生活障害やBPSDを引き起こしてしまい
表面的に対応を検討するという悪循環が起こっている恐れが高いと思います。
逆に言えば、これからもっと「対人援助職が声に注目」して
自身の声を意識化することができるようになれば
変わってくることがたくさんあるだろうと考えています。
精神医療に携わる私の知人は
「言葉でウソをつけても、声はウソをつかない」
と言っています。
本当にその通りだと感じています。
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