会話の工夫13

認知症のある方で
立ち上がりはできるけれど歩くのは不安定な方って結構いらっしゃいます。

そんな方が立ち上がったら
たいていの方は「立っちゃダメ!」「立たないで!」
って言うと思います。

でも、その言葉だと認知症のある方は立ち上がり続けてしまうんです。

私は「座っていて」と言っています。
緊急性の高い時には「〇〇さん、止まって!」「ストップ!」
と言います。

違いが分かりますか?

「 Do not 」「してはいけない」と言われても
どう行動を修正したらいいのかわからないのです。

今している行動は良くない、やめてほしいとしたら
どうしたら良いのか、修正すべき行動を言葉にする
「 Do 」を言われなければ行動を修正できないのです。

「立っちゃダメ」「立たないで」という禁止表現ではなく
「座る」「止まる」という、してほしい行動を直接言葉にします。
それから
「どうしたんですか?」
「どこに行きたいんですか?」
と立ちたかった必然を尋ねます。

立ち上がるには立ち上がるだけの必然があります。

トイレとか
お尻が痛いとか
お風呂に入ろうと思ってとか
家に帰らなくちゃとか。。。etc.
その必然性に応じて対応していきます。

時には
じっと座っていられない
落ち着いていられない
という状態のこともあります。

そんな時には
「立たないで」「座っていて」と「言う」のではなくて
「 Be Calm 」
「 Calm 」という状態に「なれるように」援助することを考えるのが
私たちの仕事だと思っています。

「 Calm 」という状態になったから
結果として、
立ち上がらない、座っている
という状態になる。

「 Do 」ではなくて「 Be 」として。

結果だけを求めて
「立っちゃダメ」「立たないで」
と言い続けることは手段の目的化になってしまっている。

一つ一つの場面で
自分の声かけを具体的に内省・検討していくと
本当は何に悩むべきかということが
自分の中で明確になってくる。

将来、建設的に対応できる自分になるための
模索の道を進めるようになってくる。 

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