見た目、筋力低下を来しているように見えて
その実、筋力はMMTで言えば4/5はある
けれど、介助に協力して立ち上がったり、
手すりなどの環境を活用して立ち上がったりは
難しいというケースによく遭遇します。
歩けるけれど自分一人では立ち上がれない
平行棒に捕まって立ち上がれないけれど立位保持ならできる
平行棒に捕まって立ち上がれないけれど全介助なら立ち上がれる
という状態像の方に遭遇したことがあるのではないでしょうか?
さらに状態像が悪化というか増幅してしまったカタチで現れているのだろうというケースが
通常の全介助では身体に変な力が入って立ち上がれない、
だから立たせても足で支えられずに膝が崩れてしまう
という場合です。
表面だけ見ると、いかにも筋力が低下しているように見えるので
このような状態像の方に大腿四頭筋の筋力増強をしようと試みるかもしれませんが
言語指示が理解できないので、実施困難なことが多いと思います。
そうするとお手上げ状態になってしまうけれど
本当に起こっているのは
身体の使い方の問題であって筋力低下ではない。
でも適切な身体の使い方の再学習ができないと
動作機会がなくなり廃用が起こり本当に筋力低下をきたしてしまう
ということではないかと考えています。
認知症のある方の食べ方と介助の問題と
(誤介助によって誤学習が起こり食べられなくなっている。
結果として起こっている食べられないコトを見て能力低下と判断し問題視する)
まったく同じコトが違うカタチで起こっているのです。
本来、多様な環境にも適応できていた
ただし、誤介助(持っている能力の適切な発揮ではなく代償による過剰努力をさせていた)によって
初めは過剰適応できていたけれど
その結果、身体協調性が低下してしまったという状態は
多様な環境には適応できなくなっただけで
限定した環境であれば能力を的確に発揮できるということを意味しています。
私たちにすべきことは
見た目の結果だけ見て
原因をinpairmentな低下と判断して対応するのではなくて
本来の能力を発揮できるように
まずは限定した環境(介助者の介助方法や場面設定)を見出し提供することだと考えています。
どのような環境であっても生きている限り環境適応している。
認知症のある方にとっての、
物理的・心理的環境でもある介助者の具体的な介助と
その介助が依拠する在りようは
援助にも使役にもどちらにも転ぶ。
援助であれば、認知症のある方は正の学習が起こり能力をそのまま発揮することができる。
使役であれば、認知症のある方に誤学習が起こり能力の過剰代償が起こる。
そして、いずれは本当に能力低下をきたしてしまう。
介助って本当に奥が深い。
そしてこわい。
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