なぜなんでしょう?
お年寄りの前から両手を引いて歩かせる職員がこんなにも多いのは…。
手引き歩行は
お年寄りにとっても職員にとっても、移動方向を視認することができずに危険です。
また、見た目歩いているように見えても、お年寄りの身体は前から引っ張られるために、作用に対する反作用で重心は後方へ変位しています。
外見的には歩いていても、歩くためのポイントである重心移動は後方へ移動している…お年寄りの脳の中では、「歩く体験=重心の後方移動」という回路が働いています。
また、心理的にも「歩く=誰かに先導される」という体験になってしまっています。
これでは、歩行介助するたびに、歩けなくなる要素の体験を積み重ねさせている…ということになってしまいます。
それなのに、ケアの現場でなぜこんなにも手引き歩行が横行しているのか…。
おそらく、実習や就職先で先輩たちが手引き歩行をしているのでしょう。
誰も言葉にしては、手引き歩行を奨励していなくても、みんながしているから、その意味を考えることもなく続けられているのだと思います。
手引き歩行は狭い場所で移動介助するには適した方法です。
ですが、そうでないなら、お年寄りの側方に立って腰と手を支えたほうがずっと理にかなっています。
お年寄りの状態にあわせて介助量を変更するのが容易ですし
前方と側方への重心移動を適切に介助できます。
心理的にも「共に歩む」体験です。
お年寄りも職員も移動方向を常に目で見て確認できます。
私はずいぶん前から手引き歩行撲滅作戦を発動しています。
この作戦に多くの方が参加され成功することを願っています^^
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