現行のケアやリハの在り方で常識のように行われていることでも
理屈で考えてみると、とてもおかしなことってたくさんあります。
たとえば
ふだん、股関節90度屈曲した座位がとれないために
ティルト型車椅子に座っている方ってたくさんいると思います。
その方達を食事の時にティルトを完全に起こして食事介助する。。。
大昔は老年看護の教科書に90度の法則として、
食事は股関節90度屈曲膝90度足90度屈曲の「良い」姿勢で食べるように
という記載があったとのことですが
そもそも「良い」姿勢がとれない、股関節90度屈曲位をとれない方に対して
見た目だけ「良い」姿勢を取らせることにどんな「良い意味」があるのでしょうか?
科学は過去の知識の修正の上に成り立つ学問です。
きちんと論理的に考えて不合理な常識はアップデートしていきましょう。
理屈で考えてみれば
安静時でさえ、股関節90度屈曲座位がとれないのに
食べる(たとえ、全介助であっても)という、運動をする時にティルトを起こされたら
姿勢が崩れてしまいます。
もともと、仙骨座りの人だからティルトを倒して座っているのに
ティルトを起こされたら、ますます仙骨座りになってしまいます。
座面が平らだと前に滑り落ちそうになってしまいます。
その不安定さをなんとかしようとすると
使えるところを使うしかないので頸部の伸筋群を過剰収縮させることになります。
頸部の筋は、姿勢保持と嚥下と呼吸に関与しています。
姿勢保持に使う割合が増えれば、その分嚥下と呼吸の働きが疎かになりかねません。
また、仙骨座りを助長するような座り方をさせるので
剪断力が働き褥瘡発生のリスクが高まってしまいます。
何回も書いていますが、
褥瘡の原因は垂直方向の圧迫だけではありません。
ここを誤認している人がいまだに多いことに驚きますが
横や斜めのズレ、剪断力も褥瘡の原因の一つですから
思い込みを卒業し、仮に現行のケアやリハの常識とされていたとしても
論理的に考えて適切かどうかを判断したいものです。
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