目標設定に際して
前の記事で記載したことを実践する際には
下記のことに気をつけると設定が明確になります。
主語を「対象者」述語を「〇〇できる」という文体で記述する。
これでかなり、治療方針や治療内容との混同を回避することが可能となります。
つまり、「△さんが〇〇できる」という文体で記述するようにします。
この枠組みに沿って記述するとなれば
「△さんが現状維持できる」という文章では疑問を抱きますよね?
すごく曖昧な文章だということに気がつけるようになります。
行動・条件・基準という指針に照らすと
すべてが曖昧だということを自覚することができるようになります。
現状維持とした行動が何なのかということを
記述の枠組みによって具体化することを求められるからです。
だから
「記述の仕方が問われるべき」
なのです。
また、よく聞くのが
「目標とは現状を改善するもので維持は目標ではない」
という指導を受けたという言葉です。
う〜ん。。。
現状維持だって概念としては立派な目標です。
ただし、ADLのどの部分を維持することが重要なのか
どのような行動を維持することが重要なのか
そして、それはなぜなのか
ということをきちんと認識できていることが必要なのです。
「歩行能力の維持」を短期目標として設定したとして
この短期目標の達成の可否をどうやって判断しますか?
杖歩行できていた方が転倒してしまったら?
杖歩行できていた方が歩行器歩行に変わったら?
杖歩行できていた方が歩行中のふらつきが目立つようになってきたら?
判断基準が曖昧であれば、きちんとしたPDCAを回すことができません。
結果、漫然としたリハの提供に陥ってしまうのです。
たとえ、善意の関与であったとしても、です。
善意だからこそPDCAを回しにくいものです。
善意というのは本当に恐ろしい。
善意ではなく善行を為すことが重要です。
この辺りの怖さを昔は実習で体験できていたんですよね。。。
でも今は実習で体験しがたくなっていて
善意の恐ろしさを身にしみてわからないままに
臨床経験を重ねているセラピストが多いように感じています。
「歩行能力を維持」するために関与した結果として
どんな行動を維持する必要があるのか
行動・条件・基準 に基づいた目標を設定できれば
どんな人でもブレることなく判断できます。
ここで大切なことを書きます。
1)行動とは状態ではない。
2)条件と基準は対象者にとっての優先順位によって変わる。
このあたりは、実際に自分で目標設定をしてみるとよく実感できると思います。
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