第6回神奈川県臨床作業療法大会 事前参加登録が開始されました!

2024年12月8日(日)に開催される
第6回臨床作業療法大会の事前参加登録が本日9月2日(月)12:00から開始されます !

詳細・お申込は
_大会公式サイトの参加登録_から。

事前申込の参加費は、¥2,000円とのことです。

開催日程は、_こちら_をご参照ください。

第2講演として
「なんちゃって目標からの卒業〜自分自身に問い直す〜」というテーマ

お話させていただきます。

思えば
リハの分野は目覚ましい発展を遂げてきました。
私が高校生の時に進路指導の先生に尋ねられて
「リハビリテーションの学校に行きます」と答えたら
「リハビリテーション?それは何だ?」と言われました。
でも、今やリハを受けたことのない人はいても
リハビリという言葉を聞いたことのない人はいないと思います。

リハの知識も技術も蓄積され
対象分野も大きく広がり
従事するセラピストの数も大きく増えました。

一方で
私が学生の頃からあまり変わっていない課題もあります。
チームワークしかり
目標設定しかり。

なぜなんでしょう。。。

チームワークについては
一時期は飲ミュニケーションという言葉が席巻したこともありますし
目標設定についても
一時期OTの中でブームとなったアプローチもあります。
でも、飲ミュニケーションという言葉は定着しませんでしたし
今の若い人は聞いたこともない言葉なのではないでしょうか?
同様に、一時ブームとなったアプローチだって定着しているとは言いかねます。
定着していない。。。ということは
結局、現場的に
使いづらさがあるとか、現実的ではない、つまり、本質ではない
ということだと思っています。
 
リハも世の中の一部ですから、世の中全般と同じように
リハの世界にも流行り廃りがあるのです。
パワーリハとか回想法とか学習療法とか、一時はものすごい盛り上がりを見せました。
それらはそれぞれ意義がありますから、上手に活用すれば良いのに
「これをすればOK」とばかりに盛り上がり過ぎたように感じています。
流行り廃りがあるということは本質ではないのです。
踊らされちゃいけません。
「曇りなき眼で見定め決める」とは、もののけ姫のアシタカのセリフですが
まさしく、まさしく!

12月の臨床作業療法大会での講演では
目標設定の本質に迫るお話をしたいと考えています。

実は、目標設定で悩んでいる人はすごく多いはずなんです。
(自覚している人はまだしも、自覚できていない人も多い)
「目標をどんな風に設定したら良いのかわからない」
「これで本当に良いのかわからない」
と立案時に悩む人もいれば
「やりたいことを尋ねたら、そんなものはないと言われた」
「やりたいことを提供したら、全然できなかった」
と提供時になって初めて困る人もいますし
目標をちゃんと設定できていないのに困ることすらできない人もたくさんいます。

今思えば、私が学生の時に目標設定をちゃんと教えてくれる人はいなかった。
そして、私もちゃんと教えてと言うことも疑問を抱くこともできていなかった。
じゃあ、今は?
リハの知識や技術の目覚ましい発展に比べ
目標設定に関する知識や技術はどれほど進展してきたと言えるでしょうか?
周囲を見渡す限り、いろいろな場面で見聞きする限り
私が学生の頃とほとんど変わっていないように感じています。

どうしてなのでしょう?

本当は
目標の設定の仕方がわからない
のではなくて
目標とは何ぞや
ということがわかっていないのだ
と考えています。
 
問題の本質を吟味することよりも
表面化した問題を表面的に解決しようと(善意ではありますが)
考えた方法論の限界が見えてきていると思います。
本来、対応すべきは目標の概念理解だったのですから
問題設定の問題に陥っていたことを自覚して
本来の問題に対応すべきだと考えています。

そもそも普通に考えて、
目標の概念理解ができていないのに、目標設定の仕方を検討したり工夫する
って、すっごく変!

コトは目標設定に限りません。
まったく同じコトが違うカタチで臨床現場で起こっているんです。
 
概念の本質を理解せずに対応を考えたり推奨したりしている。。。
食事介助でのムセへの対応しかり
ポジショニングの最大可動域の設定しかり
認知症のある方に敬語を奨励することしかり。。。

極めつけが
どんなテーマで講演しても質疑応答で必ず出る、
「〇〇という状態の人がいますが、どうしたら良いでしょうか?」
というカタチの質問です。
この質問のカタチには、ふだんの思考回路が反映されています。

〇〇という時には、△△する
という思考回路です。
というか、単なるハウツーの当てはめですから思考ですらありません。。。

そのような市場の要請に応じて
ハウツーを売りにした研修も
ハウツーを売りにした本もサイトも散見しています。。。

その一方で
「その人らしさを大切にする」
「その人に寄り添う」
というスローガンは、どの分野でもどの職種でも花盛りです。

本当に。。。?

どういった思考や言動がその人らしさを大切にすることで
どのような思考や言動がその人らしさに寄り添っていないことなのでしょうか?
「言う」のではなくて
「実践する」ためにどれだけ検討し
「実践後」にどれだけ自己検証しているのでしょうか?

「その人らしさを大切にする」
「その人に寄り添う」という理念を
本当に実践・具現化していたら
ハウツーを求める質問は出てこないし
ハウツーを売りにする研修や本やサイトが提供されるはずがありません。
ハウツーは「その人らしさを大切にする」「その人に寄り添ったケア」とは
真逆の在り方だからです。

その反映の現れの一端が
「現状維持」「移動能力の維持・向上」「筋力増加」「可動域改善」「認知機能維持」
といった文言で「目標」として設定されていることも多々あります。

こんなにも、実践と理念が乖離している現実に
疑問を感じる人がどうしてこんなに少ない
のでしょうか?

理学療法士・作業療法士という言葉が1965年に日本に誕生して来年で60年になります。
日本には還暦という言葉があります。
「産めよ、増やせよ」で国策としてのPT・OT養成がひとまわりするわけです。
このあたりで、第二の人生に生まれ変わるという還暦の意味に沿って
もう一度、根幹となるものを考え直しても良いのではないでしょうか?

知見の集積は必須でした。
でも、どんな物事であれ
物事は表裏一体、メリットもあればデメリットもあります。
皮肉なことにリハの知見の集積が叶ったからこそ
蓄積された知見を対象者のために活用するのではなく
知見に対象者を当てはめるような在り方
が広まってしまった側面もあるのではないでしょうか。
知見の集積をどのように扱うのかは扱い手の問題です。
だからこそ、今一度、本質を見直すことが重要なのではないでしょうか。

目標を目標として設定できるということは
それ自体、重要な能力でありますが
それ以上に、臨床能力を下支えするメタ認識を涵養させるという意味でも重要です。

実際に現場で起こっている問題の本質について
言語化し、問題提起し、解決策を提案
している人は稀です。

日本のリハビリテーションの未来を担う人たちに向けて
他では聞けない、本当に貴重なお話を聞ける講演にいたします。

どうぞ、ご参加をご検討ください。

 

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