「すぐに怒る方がいてどうしたら良いのかわからない」
という質問をたくさんいただきます。
いくら専門家といっても
怒られたら嫌だし怖いですよね。
人として当たり前の感情は否定せずに受け止める。
でも、同時に、貴重な情報収集の機会として活用すべきです。
「怒る人がいる→怒らないようにするにはどうしよう」
というような表面的な対応を考えるのは、もう卒業しましょう。
怒る人は、いったい何に怒っているのかを情報収集することから始めます。
ここでいう情報収集とは
「〇〇に怒っていたのかも」
「△△に怒っていたのかも」
と勝手に考えるのではなくて
認知症のある方が怒った場面を振り返ります。
認知症のある方と自分がいる場面、周囲の環境は
どんな状態だったのか
認知症のある方が感受したであろう視覚情報や聴覚情報は何だったのか
自分は何をどんな口調でどんな風に伝えたのか
その時の距離や身体の動きはどのようだったのか
次に
認知症のある方の
記憶の連続性や見当識、言語理解力や言語表現力を把握できていれば
上記の環境情報をどのように感受し認識したのか推測できます。
そうすれば
回避すべき言葉や口調、表情や態度、場面設定が
自然と一本道のように浮かび上がってきます。
多くの場合に
認知症のある方の記憶の連続性や
言語理解力や言語表現力を把握できていないことが多々あります。
その方の特性も把握できていないので
踏んではいけない地雷を無自覚に踏んでいることもあります。
認知症のある方が怒りっぽいのではなくて
実はこちらの声かけを理解できないから起こっていることも多々あります。
身体的な疾患、つまり具合が悪くて自身の状態を的確に伝えられなくて
怒ってしまうことも多々あります。
怒らせないようにする方法がわからないのではなくて
認知症のある方が何に怒っているのかわからない
どうしたらよいのかわからないのではなくて
何が起こっているのかわからない
つまり、対応の問題ではなくて評価の問題であり
問題設定の問題なのです。
認知症のある方の困りごとを解決しようとするのではなくて
自分が認知症のある方に困らされていると無自覚に判断している
自分の困難を認知症のある方の問題として投影しているのです。
こういった専門家と呼ばれる人たちの現実は
潜在していて表面化していませんが
実は、いろいろな場面でカタチを変えてたくさん起こっています。
まずは
問題設定を変えてみましょう。
そうすれば、情報収集しようと自然と思えます。
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