食事全介助の方でも
同じコトが違うカタチで起こっています。
開口した時に舌が後の方に丸まってしまっていたり
口角から食塊が溢れたり
舌をスプーンの背で押した時に硬い抵抗感があったり
嚥下していないのに開口したり
これらは、対象者の方の能力低下ではありません。
適切なスプーン操作をするだけで解消される状態像です。
単に「食べさせる」「口の中に入れる」介助をしているだけでは
このような状態像を見過ごしてしまいますが
全介助の方でも食べ方は本当にいろいろです。
どんな風に食べているのか、観察することが重要で
観察もせずに「ゆっくり時間をかけた介助」が良いわけではありません。
たとえ時間をかけたとしても、
「何を確認しながら介助しているのか」自分の中でわかっていなければ
「見れども観えず」
自己修正が効きません。
大切なポイントを見過ごしているという意味では
時間をかけない介助と同じ結果になってしまいます。
「意味の理解」で書いたことと
同じコトが違うカタチで起こっているだけだと感じています。
クリスティーン・ブライデンが言ったように
「異常な環境には異常な反応が正常だ」
私たちは
認知症があろうがなかろうが
身体障害があろうがなかろうが
常に総体として環境適応しています。
養成課程において明確に学ぶ機会がなかったために
結果として職員が不適切なスプーン操作をしていれば
対象者の食べ方の巧みさ、細かな筋肉の多い口腔内の筋の協調はすぐに低下してしまう。
低下した協調を補おうとしてパワーで代償する。
舌の柔軟な動きが発揮できなくなってしまう。
代償が効いている間は不適切なスプーン操作にも適応できているが
代償では応じきれなくなり、結果として誤嚥が起こり、肺炎に至ってしまう。
特に
舌をスプーンの背で押した時に感じる「堅さ」「抵抗感」については
舌の過剰筋緊張が考えられます。
上の歯でこそげ落としたり
食べようとしている、そのタイミングに合わせて舌を押せなかったり
といった不適切なスプーン操作が行われれば
「食べにくい」と感じて
口腔内の筋の協調が低下した状態で
食べようとするならば、頑張ってパワーで代償するしかない
その結果として、舌が硬くなってしまう
そうすると、ますます、不適切な介助を引き起こし、
ますます口腔内の筋の協調が低下し
ますます、パワーで代償し。。。
悪循環が起こり、結果として、誤嚥性肺炎になってしまう。。。
だとしたら
回避すべき不適切なスプーン操作とは何か
望ましいスプーン操作の基本は何かを
明確に学ぶ機会がありさえすれば現実は変えられる。
認知症のある方は、ラクに安全に食べられるようになるし
介助する人は、ラクにスムーズに安全に早く介助ができるようになります。
誤嚥性肺炎は確実に減らせると確信しています。
変えようと思えば今すぐにでも変えられることです。
そして今まで知ることもなかった
認知症のある方の能力に触れる入り口になることを強調したいと思います。
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