まずは、食事を自力摂取できている方から説明していきます。
認知症があってもなくても同じコトが起こっていると感じています。
さて、本題に戻って。。。
食事を自力摂取している方は
往々にして手指の巧緻性や協調性の低下を
抹消や上肢の中枢部の過剰筋緊張によって補おうとして頑張りすぎて食べている。
最初は「問題」がなくても
パワーによる代償は将来の上肢の各関節間の協調を低下させてしまう。
そういうケースが非常によくみられています。
一人の対象者の方を長くみている方は経験があるはずです。
最初は自力摂取できていたのに、特別なエピソードがあったわけでもないのに
いつの間にか、食べこぼしが多くなり、口元へ運べなくなり、全介助になり、ムセるようになり。。。
多くの場合に
対象者の「老化」「能力低下」のせいにされてしまいます。
でも本当にそうなのかな?
ちょっと食べこぼしがあったり、摂取に時間はかかっても
自力摂取できていると、その人がどんな風にスプーンを把持しているかということは案外見過ごされてしまいがちです。
実際には、ものすごい把持の仕方をしている方がたくさんいらっしゃいます。
自力摂取できているからといって対応しないでいると
そう遠くない将来に全介助になってしまうリスクの高い方達でもあります。
つまり
スプーンで自力摂取の可否だけを観るのではなくて
どんな風に、というHowの部分を観る
ノーマルかアブノーマルかという視点ではなくて
過剰代償していないか、頑張り過ぎていないか、という視点で観察することの重要性を強く感じています。
よくあるのが
お食事後に手指を見ると
スプーンの跡がくっきりと指に残っているという方。
とてもたくさんいらっしゃいます。
つまり、スプーンを「持つ」のではなくて、指にグッと力を入れて「握って」います。
身体は総体として働いている
環境との相互作用を行なっている
私たちの身体は無意識にも機能しています。
試しに親指と人差し指、親指と中指で丸を作るように指先をつけた状態で
指先にぐーっと力を入れてみてください。
意識的に力を入れているのは指先であっても
肘の周りの筋肉や首に勝手に力が入っているのを感じることができると思います。
極論すると
こんな風にしてでも食べているということになります。
最近のコメント