臨床あるある食事介助編
「ムセたらトロミをつける」
よくありますよね?
もう、こういうパターン化した対応は卒業しましょう!
認知症のあるお年寄りで
食事が全介助の方の場合によくあることのひとつが
実は咽頭期そのものの機能は悪くないけれど
口腔期の易疲労によって咽頭期の能力が低下する
というケースです。
このようなケースでは
表面的には、「お食事するとムセる」という現象が起こってきます。
多くの場合、嚥下5相にそって食べ方の観察も能力の観察も為されていないという現実があるので
結果として起こっている「ムセ」だけ観てトロミをつけるという対応が為されがちです。
でも、本質的な困難は咽頭期ではなく口腔期にあるので
トロミをつけてしまうとかえって口腔期の易疲労を助長してしまいます。
その結果、起こるのが「さらにトロミをつける」
そんなことをすると粘性をさらに高めてしまうので
口腔期の易疲労をもっと助長してしまい、ますますムセてしまいます。
その結果、誤嚥性肺炎になってしまうという。。。
これって、本当に認知症のある方の食べ方のせいでしょうか?
諸悪の根源は
私たちのパターン化した思考回路です。
今、目の前にいる方がどんな風にして食べているのか
評価・アセスメントすることなく
「ムセたらトロミ」というパターン化した対応をしているところにあります。
だとしたら
私たちの側の問題だと言えます。
私たちの側の問題だとしたら
私たちが変わることによって現実を変えることができます。
たかだか一介の作業療法士の私ですが
たくさんの認知症のある方の食べ方を変容することができています。
私はごく普通の作業療法士です。
私にできることは、他の方にだってできます。
ただ、もっとまっすぐに観察すればいいだけなのです。
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