来月の七夕さまへ向けて
Act.提供の一環として輪ぐさりを考える人は多いのではないかと思います。
輪ぐさりはカンタンと思われるかもしれませんが
結構、難しいものです。
当院の入院患者さんの多くは、輪ぐさりのイメージはあっても
輪ぐさりとして作ることが難しい方が大勢いらっしゃいます。
多くの場合、「これでできた!」とはおっしゃいません。
「あれ?」「あれ?」と首をひねりながら
輪と輪の側面を糊でつけたりして
また「あれ?」「あれ?」と首をひねっています。
イメージはあるのに、再現できない
これは辛い体験だと思います。
中には「どうせそこまでわからないでしょ」とか「どうせ忘れちゃうからいいんじゃない」
と言う人もいたりして、私は本当に驚いてしまうのですが
認知症のある方にとって、輪ぐさりは難しい場合も少なくありません。
ADLとは違って、Act.は必ずしなくてはいけないことではないので
できないこと、苦手なことを提供するのはどうかなぁ?と思います。
認知症のある方の能力と障害と特性を把握できていれば
どんなAct.ならできるか、どの程度なら行えるのか
あらかじめ見当をつけておくことができると思います。
写真のようなケースになってしまうような方の場合
構成障害が重度にあるので
いくら隣でスタッフが「ここに紙を通して」と声かけしても
言われている言葉は聞こえていても
ご自身の行動として実行することは非常に難しい。
構成障害とは
全体と部分、部分と部分の位置関係を認識し再現することの障害のことですから
「ここに」という「こそあど言葉」を使った声かけでは
かえって理解を難しくしてしまいます。
こういうことって一杯ある。ヤマほどあります。
今回、私が上梓した「食べられるようになるスプーンテクニック」
の日総研出版の中野義之さんは
「一時が万事」っておっしゃっていただいて
障害と能力がどんな風に暮らしの困難を引き起こしているのか
食事介助で起こっていることが日常の対応場面でも起こっている
ということを明確に理解してくださった方のお一人です。
こんな風に理解していただける方は
スタッフの中でもまだまだ少ないので本当に嬉しく思います。
認知症のある方に寄り添ったケアをする
というならば、
このような場面で何が起こっているのか
スタッフの側が認識できることが重要だと思うし
もっと言えば、
このような場面は回避できるように
あらかじめご本人の能力と障害を把握できていることが求められるのではないか
と考えています。
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