体験が引き起こす感情



認知症のある方が施設に入所されたり病院に入院されて
「帰りたい」と言った時に
現実場面においての「帰りたい」という言葉は正当です。

そんな時には「今すぐには帰れずにここにいる理由」を説明すべきです。
そして説明したとしても近時記憶障害があって忘れてしまうとしたら
繰返し「帰りたい」と言われても
こちらも繰返し同じ対応をするしかありません。

そして、その一方で
認知症のある方に
自宅にいる自分とここにいる自分とを天秤にかけて
ここにいる自分の方を善しと感じていただけるような体験を
提供し続ける方策を模索することを考えます。

けれど
もしも現在の暮らしの中の何かがきっかけとなって不安や心配といった感情が喚起され
その感情から過去の同じような感情を抱いた体験を想起したとしたら
別の対応が必要だと考えています。

たとえば
「まだ子どもが小さいから早く帰らないと」
というような言葉を表出された場合です。

見た目にはまったく違うAct.をしながらも
昔とった杵柄時代の思い出とともに感情を表出されるのと
同じコトが違うカタチで現れているのだと考えています。

一方はポジティブに
一方はネガティブに

体験− Occupy – のもつPower は、とても強い。

ピンチはチャンスなのです。

私たちOccupational Therapist は
この強いPowerをもつOccupationを使いこなすことができるプロです。

Powerには向きがありません。
どちらにも転びます。
そして強い効果のあるものほど
用い方によってはマイナスの作用をもたらしてしまいます。

今、ベテランのOccupational Therapistがすべきことは
作業療法の素晴らしさを旗を振って語ることではなくて
若手の作業療法士にも理解した上で実践できるように
Occupationの使い方、用い方を伝えること
マイナスの作用をもたらさないようにするにはどうしたらよいのか
できればプラスの作用をもたらせるようにするにはどうしたらよいのか
その方略をこそ伝えることだと考えています。

今の私に
臨床の場ではない場所で
どこまで伝えることができるのかわかりませんが
最善を尽くしてお伝えします。

http://ot-lab.org/post/581

  

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