思い出話から

もう20年近く前になるかしら

「寝たきり老人をなくそう」 「離床して活動的な生活を」

というスローガンが流行した時代があります。

その頃、日本作業療法学会で発表しました。

何にでも参加する「活動的」な人だからといって

認知症状の進行が防げるわけではない

維持できていたのは

自分で参加不参加を選択できる人だということを。

 

こんなの、当たり前。

でも、発表直後にある人から指摘されたことを覚えています。

「作業療法を否定するようなことを言っちゃいけない」

その人が言わんとすることは痛いくらいわかります。

でも、当時も今も

やっぱり、私には納得できません。

だって、私は作業療法を否定したんじゃない。

作業療法をちゃんとやれるようになりたかっただけ。

対象者にとって

本当に有効に作用するような作業を提示することが

私たち作業療法士に求められていることなのではないか。と。

 

その時の私の言葉にできなかった声は

今、カタチを変えてたくさんの方が抱えているように感じています。

 

はっきり言っておくと

何か作業をしているからといって

認知症の進行をくいとめることができるわけではありません。

作業の効果は、もっと別のところにあると感じています。

今の私にできることは

提案としての作業療法をきちんと言語化して伝えていくこと

いつかどこかで

受けとめて育ててくれる人がいることを願って 

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