認知症のある方の病状の進行に伴い
更衣が困難になるケースがよくあります。
構成障害が進行すると
ズボンを上衣としてかぶったり
シャツが前後逆だったりすることはよくあります。
でも、そのような場合に全介助しか手だてがないわけではありません。
構成障害があったとしても
衣類の選択に注意深くなることで
能力を発揮しやすくなります。
どんな衣類だったら着ることが容易になるのか
どんな対応をしたら間違いが減るのか
具体的に根拠を明確にして
ご家族や職員に説明することができます。
それは、認知症のある方にとって
大きな助けとなります。
そのような判断ができ援助ができるのは
障害と能力のプロであるリハスタッフとりわけ作業療法士の役目
だと考えています。
一部で
認知症のある方に対して
日常生活のことやBPSDに対しては
介護スタッフに任せて
作業療法士はもっと早期の段階の方への作業的なアプローチをする
というようなことが言われていますが
(もちろん、その面への対応の重要性を否定しているわけではありません)
おかしな話だと感じています。
どんな衣類だったら着ることが容易になるのか
どんな関わりをしたらよいのか
目の前にいる方の
障害と能力と特性を判断できるからこそ
具体的にアドバイスすることが可能となります。
構成障害があっても
構成能力がゼロというわけではありません。
どんな条件であれば可能となるのか
それは残っている構成能力と手続き記憶を活用する
ということになります。
つまり
私たちは、構成障害の有無を確認するのが仕事ではなくて
目の前にいる認知症のある方の暮らしの援助をするために
構成障害の程度ーつまり構成能力を評価することが仕事なのです。
シロかクロか
ではなくて、シロとクロの間に無数にあるグレーの色調を見分けること
それこそが、私たち障害と能力のプロであるリハスタッフだからこそ
判断可能なことであり、また援助への活用について具体的に提案できるのだと
考えています。
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