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「認知・認知の人・認知のある方」

バリデーションセミナー2012

ギョーカイ用語のようになっていますよね。
「認知・認知の人・認知のある方」
文脈から認知症や認知症のある方のことを言っているのはわかりますが
これって、とってもヘンな言葉です。

私は地域の公民館に伺って講演をすることもありますが
ある時、講演終了後に一人の方が近寄ってきて
「すみません。質問があるんですけど」と言われました。
「認知とか認知の人、認知のある方っていう言葉がありますが
 これって変な言葉ですよね?」と尋ねられました。

まさに!まさに!

お気づきの方もいるかもですが
私はいつも「認知症のある方」という表現をしています。
だから、尋ねてくださったのだと思います。
この表現は、英語の「People with Dementia」「People who have Dementia」の直訳です。
英語表現のすごいところは、ちゃんと「人+認知症」として明確に区分けしているところです。
そもそも「人」がいて「認知症」になったということが明確に表現されています。

ところが、日本で一般的に使われる認知症高齢者という言葉だと
「人と病気が混在・一体化」「人が形容詞化」「病気に修飾された人」として
表現されています。

「認知・認知の人・認知のある方」って日本語としても成立していませんし。
認知という精神機能と生きている人間とを並列表現するのもおかしいし
認知があって良いじゃないですか。認知が無ければ困るじゃないですか。
英語にするともっとハッキリわかると思います。
「cognition・People of cognition・People with cognition」
もはや、何を言いたいのかわかりません。。。

言葉は概念を表すものなので
こういう言葉を使っていながら「人として接する」というのは論理矛盾しているんじゃないかしら。

言葉を大切にするということは、概念を大切に取り扱うということです。
医療・保健・福祉従事者が「認知・認知の人・認知のある方」と言うのは
「私は概念をきちんと取り扱えません」と公言しているも同然なんですけどね。。。

私たちは対人援助職のプロとして養成されてきましたが
質問した人だって、何かの職業のプロです。
だからこそ、「言葉と概念の食い違い」に気がついて質問されたんじゃないだろうか
と感じました。

 

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リンゴがあるよ

There is an apple.

There are few apples.

英語では、見たままを言葉にする。

でも、日本語なら
「リンゴがあるよ」
だけで個数には通常触れないと思う。

逆に言うと
省略することに慣れているという面もあると思うけど。

個数に特別の意味があるのでなければ。
(たとえば、子どもの友達が3人遊びにきていて、リンゴが4つあるから皆で1人1個ずつ食べな…ということを暗に伝えるとか)

リンゴがあるよ…って言われたほうは
パッと振り向いて、個数などを
それこそ、パッと目で見てとる。

日々の暮らしの中で
使い続けている機能はダテじゃない
自明の文化の中にあって
個人が活用してきたはたらきは
たとえ認知症になったとしても残っている。
自覚されにくいだけで。

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Withかぁ…

People with Dementia
あるいは
People who have Dementia

「認知症のある方」を英語で表現するとこうなります。

「認知症高齢者」という日本語に馴染んでいた私にとっては驚きでした。
そうかぁ…Withかぁ…と唸ったものです。

1つの名詞にしないで
「人」+「病気」という表現になっている

こういうところにも
「人」の尊重…とか、概念の明確化…といった文化が顕われている
こういう言葉を使い続けることで、さらに文化が固有のものになっていくんだろうなぁ…。
と感じました。

ベースには、英語そのものの構造もあるのでしょうけれど。
異なる文化の中で暮らす私ですが
「人」の尊重、概念の明確化…というものは
身に染み込ませたいものなので
それからは意識的に
「認知症のある方」という表現を使っています。

日本語的には何かこなれないなぁ…と思いつつも(^^;

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認知症の作業療法?

イメージ_梅ときどき、見かけるこの言葉。

「認知症の作業療法」

うーん???
ヘンなの。

認知症のある方へ作業療法をすることはできるけど
認知症というコトへ対して作業療法なんてできないんだけど(^^;

そんなわけで私は
講演の依頼を受ける時に
こっそりパワーポイントのタイトルを変更することもあれば(^^;
依頼者にきちんとお話をして講演のタイトルそのものを変更していただくこともあります。

こういうことって、実は何でもないことのようでいて、とっても重要な問題だと感じています。
何気なく使っている言葉に概念の根本が投影されてしまう…。

私たちは、言葉を意識化することで概念に明敏になることができます。

それって、リハビリテーションの依って立つ根拠でもありますよね?

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認知の人、認知のある方

イメージ_猫

最近、よく耳にするこの言葉。

「認知の人、認知のある方」

うーん…???

認知症のある方のことを指して言っているのはわかりますが(^^;
ヘンな言葉です。
だって、日本語として考えれば、
いいじゃありませんか。
認知があって。

なのに
言ってる言葉と意味している言葉とで意味が真逆になるのに使われている(^^;

私は、時々、地域の公民館などで地元の方を対象として、
認知症予防や認知症のある方への対応について
お話をさせていただく機会があります。

以前、講演後に参加者の方に言われたことがあります。
「認知の人って言葉を聞きますが、あれってヘンな言葉ですよね」

適切に言葉を扱えないと
そのギョーカイの概念の扱い方まで疑われてしまいかねません。

「認知症の人、認知症のある方」
言葉は正しく扱いたいものです。

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