以前に食事中の音環境を録音したことがあります。
その結果は、まさに、音声多重放送状態。でした。
こんなに大きく聞こえるとは思わなかった音の筆頭は
スプーンに残った食塊を食器に軽く叩いて落とす音でした。
金属音の高い音でカンカンと響きわたっていました。
配膳者のシャッターを上げ下げする音も
ガガガーッと響きわたっていました。
実際の食事場面では
スプーンを食器で叩く音や配膳者のシャッター音は
まったくといっていいくらい気にならなかった…。
そうなんです。
音が小さかった…のではなくて
音が気にならなかった…に過ぎないのです。
私たち職員は、気にならないでいられる
つまり、無意識のうちに脳の中で
スプーンや配膳者の音は
「気にしない」という取捨選択が為されているのです。
耳は聞いているけれど脳は聞いていないのです。
認知症のある方にとっては、どうなのか…
当事者のクリスティーン・ブライデン氏は
スーパーマーケットなどのにぎやかな場所での音環境を
このように表現しています。
「音の洪水」
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