能力発揮は状況によりけり
だから、場面設定の工夫や介助の仕方、声かけに工夫が必要なのであって
決して介助者の思う通りに認知症のある方を動かすためではありません。
たとえば
私は、ちぎり絵では和紙をタオルの上に1枚ずつあらかじめ置く
という工夫をしています。
ほんの一手間ですが
このような場面設定をすることで
1)手指の巧緻性が低下している方でも
和紙を1枚ずつつまみ上げることが容易となる
2)和紙の微妙な色合いの変化を明確に認識しやすくなる
というメリットがあります。
和紙を缶の中に入れたままで提供するだけでは
ちぎり絵を行うことができない方もいます。
場面設定がその方に適切かどうかを検討・吟味することなく
「ちぎり絵の遂行不可」という判断
「和紙を1枚ずつ取って」という指示理解不可という判断
は、拙速であり、間違いであり、大変大きな問題です。
こちらをご覧になれば、お分かりのとおり
ナスの右側は濃い色の和紙を貼り
左側は明るい色の和紙を貼っています。
同じ左側でも、上の方は濃く、下の方は薄い色を選んでいます。
ナスを立体的に光と影や色の微妙な違いや濃淡を意識して
貼っていることが窺えます。
これほどの能力を発揮できるか、できないかが
和紙の提供の仕方という場面設定によって異なってくる。
能力は状況によりけり発揮される所以であり
場面設定の工夫が必要な所以でもあります。
場面設定の工夫次第で
認知機能障害が低下したとしても楽しめるように
能力と特性の発揮を援助することができるかできないかに関わってきます。
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・「ちぎり絵の工夫(1)タオル」
・「塗り絵」と「ちぎり絵」の違い:共通点
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