事実の子5:?「ここをこうして」

ある時、ハッとしたことがあります。

何のActivityをしている時かは忘れてしまいましたが
「ここをこうしてこうやって」
私はそう言っていたんです。

「あっ!私の伝え方が悪いんだ」
そう思いました。

認知症という状態像を示す病気では、構成障害という障害が出る場合があります。
構成障害とは、全体と部分、部分と部分の位置関係を認識し再現する能力の障害です。

「ここをこうしてこうやって」という説明をしているときには
隣で認知症のある方が扱っているのと同じ品物を私も同じように取り扱って
目で見ていただきながら、その上で言葉でも説明しています。

構成障害のある方にとって
全体と部分、部分と部分の位置関係を認識することが難しければ
ご自身の作業と対象物と、私の作業と対象物とを
目で見て比較対照しながら理解するということは、とても難しい。
「ここをこうして」を理解するのは非常にハードルの高い言語説明なんです。

それまでは無自覚に使っていた言葉でしたが
以降は気をつけて言葉を選びながら伝えるようにしました。
構成障害があってもなくても
「ここをこうしてこうやって」ではなくて
できるだけ動詞と名詞、位置関係を明確に言語化するように気をつけました。
そして、明確な言語による説明だけでは
「位置関係を認識し再現する」という障害を補うことは難しいので
「対象そのものに工程を語らせる」という工夫をするようになりました。

「対象そのものに工程を語らせる」
このことについては
具体的に説明しないと伝わらないし、その説明は長くなるので
いずれまた、改めてこちらの記事に書くようにします。 

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