食事介助:実践する上での留意点

IMG_0443

口を開けてくれない、ためこんでしまう、ムセがひどい等
ほとんど経口摂取が難しくなってしまい
低栄養、脱水、誤嚥性肺炎、尿路感染などを起こしてしまった方が
もう一度食べられるようになるためには
留意点がいくつかあります。

まず、優先順位を明確にすること

たいていは、体力温存を優先しますが
そこまでの状態でなければ離床継続でも大丈夫です。

嚥下5相の
どこにどんな困難があってどんな能力があるのか
優先して使う能力は何か
その間次善の策としての対応はどうするか

次に
食形態の選択と一口量の選択を行います。

良くなっていく過程は
どんな方でもsensitiveなので
注意深く経過を追います。

体力アップを図る
一口量を上げる
食形態を上げる

それらの設定と実践の担保と確認

これができないと
いったん良くなっても容易に逆戻りしてしまいます。

つまり
きめ細やかな段階付けを行う
ということで
これは他のどんな障害のある方へのリハについてと
何ら変わることがありません。

認知症だからといって
特別なことは何もないのです。

食事介助において
その人らしさ。とか、ナラティブ。の重要性とか
言葉は綺麗ですけど、何を意味しているのか
私にはまったくわかりません。
モチロン、まったく無関係ではありませんが
もっともっと把握すべき重要な事柄が他にたくさんあるのです。

意外に私たちが見落としがちなのは
そして案外実践しそこねているのは
きめ細やかな段階付けを設定する際には
ある程度定着した能力の確認として行うのか
定着不安定な能力のトレーニングとして行うのか
提供者側が明確にしておくことということです。

あくまでも
目の前にいる方と自分との関係性において判断する
そういう心構えが一番大切なのに
誰かが言っているから(とりわけ有名な人が)とか
本に書かれているからとかを根拠に
(それらはとても貴重な知見ですが、鵜呑みにするのは違う)
自分が目の前に起こっていることを見ていない
自分が何をしようとしているのかも明確にしていないままに
言われている、書かれていることを漫然とあてはめているだけのケースが
非常に非常に多く、だからこそうまくいかない、結果が出ないのに
。。。そんなの、うまくいくはずがなくって当たり前。 (^^;
認知症のある方のせい。とされてしまうのは、とても残念で悔しい。

こういうことがEBMではない。です。

正直、
現実を知らないくせにエラそうなことを言ってる人を見ると
「?」とも思いますが
大切なことは現状を否定するのではなくて
現状を改善していくために自分ができることをする。
ということだと考えています。

私たちの側の問題なら
私たちが変わることによって
目の前の現実を変えることができる。

認知症のある方も食べられるようになり
私たちは人間の可能性の凄さの一端に触れることができ
新たな視点と新たな知識と技術を手にすることができる。

挑戦してみませんか?

たぶん、まだお申込受け付けていると思います。
(株)gene「認知症のある方への食べることへの対応」
http://www.gene-llc.jp/seminar_info/?id=1460074517-340536 

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/2574