障害者虐待の防止および権利擁護のさらなる推進のために
日本作業療法士協会 山本伸一会長からメッセージが届いております。神奈川県作業療法士会でも、本メッセージを県士会員の皆様に共有いたします。
はじめに
いつも大変お世話になっております。
日本作業療法士協会会長の山本でございます。
今年になり2件の障害者虐待事案が報道されました。医療現場の支援者が行った、障害のある方に対する重大な権利侵害です。日本作業療法士協会理事会は4月以来これらの事件を踏まえて検討を重ね、本会会員向けに会長メッセージを発信することを決定しました。
メッセージ
作業療法士の皆様へ
障害者虐待の防止および権利擁護のさらなる推進のために
近年、医療従事者による障害者の虐待事件* が立て続けに起こっています。日本作業療法士協会は、当事者の活動と参加を支援し、ご本人の望む生活の実現に向けて共に歩むことを旨としている作業療法士の団体として、これらの事件を看過することができません。
虐待があってはならないことは当然ですが、本来ならばむしろ障害のある方々の権利を積極的に擁護し、ご本人たちの幸せのために業務に専心すべき立場にある者がそれを行ったという点で、到底許されるものではなく、ただただ強い憤りを覚えます。これを機に、日本作業療法士協会は会員の皆様と次のことを共有いたします。
まず、これらの事件において何が起きたのか、一人一人の作業療法士がしっかりと情報を得て、なぜこのような事態になるまで放置されていたのか、事件を未然に防ぐことができなかったのかを、他人事ではなく我が事として考える必要があります。
次に、障害のある方に対する虐待の防止と人権擁護について、私たちが必要十分な知識をもち、正しく理解できているかを自己点検してみ ましょう。
そして日本作業療法士協会が掲げている倫理綱領と職業倫理指針についても再確認をお願い致します。 私たち作業療法士は、子ども、障害のある方々、高齢の方々をはじめとする誰もが安心 して生活できるための社会づくりを目指しています。
それを一歩でも着実に前に進めるためには、一人一人が絶えず作業療法の理念に立ち返り、「人々の健康と幸福を促進するため に」日々の実践を丁寧に積み上げていくことが何よりも大切です。私たちはこのことに深く思いを致し、作業療法士としての社会的役割を誠実に果たしてまいりましょう。
皆様のご理解とご協力の下、日本作業療法士協会としてもその実現を目指して活動を続けてまいります。
2023年7月
一般社団法人 日本作業療法士協会
会 長 山本伸一
* 滝山病院(東京都八王子市)、ふれあい沼津ホスピタル(静岡県沼津市)などの精神科病院で、2022 年、看護師らによる暴言・暴力・身体拘束等が明らかになった事件
事案の補足
近年、報道されている障害者虐待・権利擁護に関する事件です。これ以外にも多数あります。
- 1984年 精神科病院「宇都宮病院」暴行事件(埼玉県)
- 1993年 精神科病院「大和川病院」暴行事件(大阪府)
- 2016年 障害者施設「津久井やまゆり園」障害者殺傷事件(神奈川県)
- 2020年 精神科病院「神出(かんで)病院」準わいせつや監禁などの虐待事件(兵庫県)
- 2022年 精神科病院「坂本病院」認知症患者への虐待事件(大阪府)
- 2022年 精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」暴行事件(静岡県)
- 2023年 精神科病院「滝山病院」暴言・暴力・身体拘束等の事件(東京都)
(出典:各社の新聞報道など)
詳細
(制度対策部)
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