【在学生】第27回 作業療法士を目指して

【在学生】 第27回 作業療法士を目指して 「作業療法士を目指して」

 高校生の自分がまさか十年後に作業療法士の専門学校に通っていると予想もできず、作業療法士の「さ」の字も知りませんでした。私は高校卒業後、格好が良くて高収入が得られるとの軽い気持ちから建築士に憧れ、建築系の大学に入学しました。図面を正確に描くことが出来ず、建築士の道を早々に挫折したものの、何とか卒業し、某ハウスメーカーの施工管理職に就職しました。しかし、その場しのぎの就職活動で入社した自分が通用するほど現場の世界は甘くなく、人生を賭けてプロとして仕事に向き合っている職人の方々と、共に働くことに自信を持てず、わずか一年で退社しました。

 自分自身に自信が持てない、いつもいい加減な自分が本当に嫌いになり、こんな自分ができることなんて何も無いのではないかと思いました。

 そんな時、新聞の折込チラシに近所の老人ホームのアルバイト募集があり、何気なく応募したのがきっかけで介護職として働き始めました。そこで出会った利用者の方々が、様々な体や心に障害を抱えながらも、生きる姿に何か自分にできること、少しでも笑顔で笑って人生を楽しむお手伝いができないものかと感じ、作業療法士の養成校に入学しました。

 私が作業療法士を選んだ理由は、人それぞれ「生きがい」は違う。作業療法士は患者さんそれぞれが「生きがい」を探し、実現する瞬間に立ち会えるところに魅力を感じた為です。また、障害を負う前のレベルに心身が戻らなくても、できないことに焦点を当てるのではなく、対象者の希望する活動が実現できるような工夫を考え、より良い人生を送れるようなサポートができるところです。

 今、作業療法士養成校に入学して一年とおよそ半年が経ちました。筋の触診などの実技習得することや、体の仕組みについて学ぶことが膨大にあり、正直大変ですが、その分とても充実しています。勉強として学ぶ事だけでなく、患者さんと接するにあたり、一人のセラピストになる為の人間力がとても求められます。それは、人と接する為に必要な挨拶をはじめ、気配り、空気が読めるなどのコミュニケーション能力、また、観察力を養う力を、授業だけでなく、病院や福祉施設の実習を通し学ぶチャンスがあります。

 今、少しでも多くの事を吸収することで患者さんを救えると思うと、どんなに課題が多くても、自然と一生懸命頑張れます。いつかは、患者さんに選ばれるようなセラピストなりたいです。

 こんな自分が、これから作業療法士を目指す方にアドバイスを伝えられるような立場ではありませんが、まずは自分の気持ちに正直になって、なぜ人の為になる仕事がたくさんある中で、作業療法士なのかを考えると良いと思います。自分に嘘を付いて選んでしまうと、専門的な勉強をするにあたり、自分自身が苦しくなってしまいます。

 「作業療法士になりたい」と思える強い気持ちがあれば、辛い時でも乗り越えられるし、積極的に楽しんで取り組めるはずです。

 社会人で入学するのをためらっている方も是非トライしてもらいたいです。私も当初、年齢面から現役生とうまくやっていけるのか、浮いてしまわないのか不安でした。しかし、目標が同じこともあり、切磋琢磨する中で自然と溶け込めますよ。若い人から、学ぶ事が多くとても楽しいです。もう一度、青春するのも悪くないですよ。それに人生一度きりなので、後で後悔するのであればやったもの勝ちだと自分は思いますよ。

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