【若手】No.35 学校で学んだ事、今感じている事

【若手】No.35 学校で学んだ事、今感じている事 私は精神障害領域の病院に勤めている、3年目の作業療法士です。精神障害領域は、こころの不健康や病に対して他職種で連携して治療を行っています。まだまだ勉強不足で、先輩スタッフの背中を見ながら日々仕事を学んでいます。

 私は元々、工業高校出身で、機械やプログラミングの勉強をしていました。そんな私が医療とリハビリの世界に出会ったのは祖父の入院がきっかけでした。急な病に臥した祖父に対して機能訓練を通じて励まし、支え、治療するスタッフの頼もしくて優しい姿を目にした時に心打たれ、そこからリハビリの仕事に興味を持つようになりました。訓練をしている時に見た祖父の笑顔や安心している表情は今でも忘れていません。私も将来、何か人の為に役立つ仕事をしたいと漠然とした気持ちを、その頃から持つようになっていました。
 目的が決まってからは、作業療法について養成校のパンフレットを集めたり、オープンキャンパスに参加して学校の雰囲気や、学べる講義内容などを比べていました。なぜ作業療法士に決めたのかは、工業高校時のものづくりの知識が、作業に使う自助具の考案や作成に活かせるのではないかと思ったからです。また、養成校の講義の中に陶芸や革細工などの手工芸を体験する場面もあり、率直に面白そうだと思った部分もあります。作業が人にどのような影響を及ぼして、どうして治療に繋がるのかという興味も強く持っていました。

 大学は地元から離れた学校に入学したので、1人暮らしをしていました。元々、親元を離れて自立したい気持ちが有ったので1人暮らしに抵抗は無かったのですが、学業と生活の両立は最初の頃は慣れませんでした。早々に家族のありがたみを痛感した瞬間でした。学業の方では、解剖学、生理学、運動学などの専門的な講義は覚える内容も多く、専門用語を覚える為に、骨や筋肉の名前をブツブツと復唱しながらノートに文字を書き連ねたり、自分の体を見ながら○○筋・骨は何処にあるのかと教科書と睨めっこをしている日も多かったです。苦しい時もありますが、学期末の試験を終え学年が上がる度に、憧れの作業療法士に近づくことが出来ていると実感すると、モチベーションが上がり勉強を続ける事が出来ました。
 臨床実習や国家試験で大変な時には、同じ作業療法士を目指す友人と励まし協力をして支え合う機会も多く、難しい課題を一緒に超え、同じ喜びや苦労を分かち合った時間が沢山あります。今でも互いに高め合うライバルのような関係で、社会人になってもお互いに研鑽を続けています。大学の4年間は新しい事への挑戦でいっぱいで、様々な体験が出来ました。成功から喜びと達成感を、失敗や挫折から悔しさや悲しみを感じて来ましたが、そんな全ての経験が医療人としての私、社会人としての私を育ててくれたのだと思います。

 作業療法士としてはまだまだ未熟ですが、患者様の小さな体調の変化や回復している姿を見かけるとやりがいを感じ、毎日の仕事が楽しみです。患者様と作業療法の場で接すると色々と知る事が出来ます。作業療法では、その方の興味や好きな事、得意な事を見つける視点が重要になってきます。ひとりひとりが持つ、その方らしい作業から見失っていた自信を取り戻し、再び家庭や地域の生活に戻れるように援助をする事を日々念頭に置いています。得意を活かして治療に繋げられる事が、作業療法の魅力の一つではないかと感じます。得意な事は人それぞれ持っています。もしかしたら、機械やプログラミングの知識もそうですし、皆さんが持っている得意な事も作業療法の場面で使えるかもしれません。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。少しでも作業療法に興味を持って頂けたら幸いです。これから作業療法士を目指す方、現在作業療法士を目指している方も、いつか一緒に働ける日を楽しみに、心より応援しています。
 

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