【中堅】領域が異なっても作業療法の本質は同じでした

篠崎雅江OTR(さがみ緑風園診療所)

精神科で30年勤務の後、障がい者支援施設に勤務してもうすぐ3年になります。多発性硬化症や脳血管障害、遷延性意識障害等の方々を担当しています。ROM測定、感覚検査、姿勢とポジショニングなど臨床実習以来ほとんど触れていなかったことを行っています。車椅子の簡単な修理やコミュニケーション機器の活用、スイッチの選定など初めて行うことも多く、学びの毎日です。

生活期だからでしょうか、専門領域が緩やかに分かれてよく連携している感じがします。食事の場面を例に出します。嚥下評価はSTの専門領域ですが、食具の選定やクッションを使ったポジショニングはOTが行います。食べやすい姿勢評価でPTも介入します。利用者の昼食時にPOSそれぞれが姿勢を整えたり、クッションを変えたり、食器をいくつか試したりする光景はよく見られます。POSが揃わなければ、OTが姿勢を変えたりPTが食器を選ぶこともあります。精神科でも精神保健福祉士や看護師、公認心理師がスペクトラム状になってクライアントを支援することをよく経験しました。

支援(治療)計画を立てる過程は精神・身体障害とも同じと感じています。利用者の希望をよく聞き、どうすればその希望は達成されるか、そのままでは達成できない場合はどうするか、言葉の奥底にある本当の希望は何かを考えて支援計画を練る。計画実施後は効果測定を行い、多職種も含めた振り返りをして次の支援に活かす。手段の違いはありますが、本質的な内容に領域の違いはないと実感しているところです。

”その人らしい生活”を目指すのはどの領域でも同じだと思います。分野は違えど作業療法は必ずどこかで繋がっている。身体障害と精神障害、両方を経験して作業療法の奥深さを改めて感じました。


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