【若手】No.32 何となくいいなと思って

【若手】 No.32 何となくいいなと思って 私は,身体障害領域の病院で働く1年目作業療法士です.急性期から在宅までの支援を行う病院で,現在は回復期でのリハビリを担当しています.

 私が作業療法について初めて知ったのは高校1年生の頃でした.元々は,高齢の方や障がいを持つ方々の生活の手助けをしたいと思い介護職を目指して学業に励んでいました.
 しかし,文系科目が苦手な私は進路選択でどうしても理系に進みたいと思い,何となく部屋にあった職業一覧本を見ていました.そのときに,目に留まったのが作業療法士でした.どんな内容であったのかは覚えていませんが,「患者さんが不便と感じていること(例えば着替えやトイレなど)に対してリハビリをする」というイメージを持ったことは鮮明に覚えています.「作業療法士って何となくいいかもしれない」とざっくりとした志望動機のもと,受験勉強と部活動に毎日取り組んでいました.
 残念ながら,第1希望の大学へは合格できませんでしたが,神奈川県内の私立大学に運良く合格し,夢の1人暮らしと大学生活が始まりました.

 自由で楽しい大学生活とは裏腹に,講義は毎日1時限目から始まり,遅い日は5時限目まで入っていました.講義内容は基本的な解剖学や生理学から始まり,学年が上がっていくにつれ作業療法に関する専門的な内容になっていきました.忙しい毎日の中で空き時間には昼寝をしたり,アイスを食べておしゃべりをしたりすることが楽しみの一つでした.さらに,放課後にはアルバイトをしたりサークルに参加したりと大学生らしい生活を送れたと思っています.
 4年生での長期実習は,大学生活で身体的にも精神的にもとても辛かったです.しかし,4ヶ月の中で多くの患者様と関わり,実習地の先生方から多くのご指導をいただくことで,医療人としてもヒトとしても大きく成長できたと感じています.大学4年間では両親をはじめ専攻の先生・先輩,実習地の先生,同じ夢を持つクラスの友人達に何度も救われ,毎日の講義や多くの課題,テスト,実習等を何とか乗り切ることができました.私たちの学年は歴代の先輩方に比べ成績が悪く,先生方には心配をかけ続けてしまいましたが,国家試験にはクラス全員で合格し,夢にまで見た作業療法士としての生活を迎えることができました.

 現在は1年目として,毎日楽しくリハビリを行っています.もちろん楽しさの反面,未熟すぎて悩むことは楽しさの数倍あります.そんな時,やはり助けてくれるのが職場の先輩方や同期の仲間達です.高校生時代は何となくいいなと思っていた職業ですが,今はわたしをヒトとして成長させてくれたかけがえのない職業だと感じています.毎日,1人1人の患者様と関わり続ける限り,悩みは尽きないと思いますが,今後も先輩・同期・将来の後輩とともに一緒に悩みながら楽しくリハビリをしていけたらいいなと思っています.

 作業療法士にほんの少しでも興味があるみなさん,作業療法士に向かって頑張っているみなさん,いつか一緒に働ける日を楽しみにしています.とても素敵な毎日ですよ!

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