岩尾武宜OTR(関東労災病院)
「将来、何になろう?」
スポーツを続けており、人前に出ることは嫌いではない。昔から人と関わることは好きでした。その時に漠然と人と直接の関わりで助ける仕事で考えて見つけたのが理学療法士。間違いではありません、「理学」療法士です。
ここで最初の出会い(今回は自分に影響を与えた出会い、出来事を時系列に並べてみました)。職種から進路を選ぶならと、病院の見学を勧められ出会ったのが「作業」療法士なんです。引率した理学療法の先生が「どうせなら」と両方とも見学させてくれたことが運命。この仕事はノーマークでした。この時を振り返り、自分に「なぜ?」と問いかけてみると、その答えは「雰囲気」でしょうか。リハビリの主語の違いなのか「する」のは誰なのか。志望が変わりました。
養成校時代は、ぱっとしないにつきます。なんか「作業療法ってよくわからない」が本音。先生方は好きでした。ただ、人が元気になるかわからない。ここで次の出会い。今もなお目標のA先輩です。ほぼ全寮制のような学校。学生全員のフルネームが言えて性格もわっちゃうくらいの近い環境(普通じゃないって就職して気づいた。笑)。そんな環境だから後輩はその先輩からこの仕事の将来を教育されます(完全な縦社会です)。この環境で実習後に話を伺う中、「つらかった」という人に交じって、笑顔で「~の人に、~なことをやってみて・・」って楽しそうに語る先輩。「作業療法って人を元気にさせることができるんだ」って、初めて未来を感じました。そして、先輩と同じ職場(福岡からの上京です)へと進む私。
意気込んで就職したのですが、行き当たりばったりの臨床の連続。何を勉強していいのかわからない日々。だけど時間は進む。3年目になるときに初めて後輩ができるときは焦りました。これが3つ目。今でも仲良しなBさん。初めて「理論」というものを紹介してくれました。これが人間作業モデルとの出会いです。最初は意味が分かんない、「個人的原因帰属ってなんだぁ?」って。でも噛み砕いて伝えてくれる中で「これって普通に大事にしてたことを枠組みに分けて整理したんだ」って理解。でも、理論なんて全く気にもしなかった自分に臨床の幅を広げるチャンスをくれました。
そして一大転機のチャンスをくれたC先生(とにかくクリエイティブ!)。私は臨床10年くらいは学会参加や発表にはほぼ無縁でした。憐憫に加え抵抗感、反発、恐怖心・・・、否定的感情を奥底に隠して表面では「意味ない」って突っぱねて。その私を大学院に誘ってくださったのがC先生。ただ前に進まないだけの私にです。正直、あこがれはありました。ただの根性なしですが、この大学院進学は本当に大きな転機でした。臨床との2足の草鞋は大変でしたが、さすがにこの時期は勉強したと思います。今までさぼってた分です(ほんとに感覚だけの臨床)。文献もかなり読みました。この時を境に自分のフィールドが少し確立され、仲間が急速に増えたのも大きな収穫です。
そして、転職してきたDさん(理学療法士です!)。この出会いも臨床の仕方を見事に変えました。私の印象なのですが、作業療法士は病態理解に弱いです(あくまで個人意見です)。このDさんは医学モデル中心の心リハ・呼吸リハのスペシャリスト。このDさんにより多くのスタッフの臨床が変わったんです。病態理解の重要性を今さら気づかされたというのが恥ずかしい限りです。もしかすると、私の無知により病態を悪くした可能性があるのでは本気で思っています。臨床で「作業」は大事。ただ、できる状態であってこそ。人の命を預かる場にいる職種であることを初めて気づかされました。最近は、病態理解や治療内容の勉強が以前にも増しています。本当に今さらです。
そして、職場の仲間との出会い。専門職としての意識も高いだけでなく人間力が高い。この仲間がいるからこそ、頑張れている自分がいます。すごく自慢の仲間なんです。本当にすごいから見に来てください!笑
多くの人たちに出会い、助けられました。この文章で伝えたかったのは誰にでも影響を与え合う「出会い」があるってこと。患者さんであれ仲間であれ「影響しあう」のがこの作業療法士という仕事。願わくは、自分自身が少しでも良い影響を与えられる出会いとなっていればと感じます。
今回は出会いをポジティブに書かせてもらいました。だけど本音は自分を否定されているような気持ちがあったのも事実。否定的な感情と先入観を捨て常にニュートラルに。長い人生を送るうえでこれからも大事にしたいポイントと思っています。
自分が向き合うその全てに可能性を探す。ポジティブな意見もネガティブな意見にも自分の感情を少しだけ抑えて冷静に聞く。そして、謙虚さと感謝の心を持つ。それが良い出会いになるチャンスと成長への鍵と思っています。
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