【若手】No.23 作業療法士としての1年を経て・・・

作業療法士としての1年を経て・・・ はじめまして.わたしは身体障害の病院に勤務している1年目の作業療法士(以下OT)です.もうすぐ1年が過ぎようとしており,2年目を迎えるプレッシャーを強く感じている今日この頃です.

 わたしがこの仕事を知るきっかけになったのは中学生時代に椎間板ヘルニアを患ったことです.整形外科や鍼灸などいろいろな治療を受ける中でリハビリテーションという仕事を知ることとなりました.この頃から将来リハビリテーションの仕事に就きたいと考えるようになりました.
 正直なところ,元々は理学療法士を目指していました.作業療法士の学校に入学した本当の理由は理学療法士の学校の入試に失敗し,知り合いの伝手で学校を紹介してもらい,流れのままに入学することとなりました.入学当初は理学療法士への未練も残っていました.しかし,授業や実習の中で,アクティビティーを治療に用いたり,自助具で生活を支援するなど,徐々に作業療法士という仕事に魅了されてきました.
 学生時代に先生方から「一生勉強が必要であり,仕事についてからが本当の勉強」という言葉を何度も聞かされていましたが,その頃の自分は仕事につくという実感も弱く,ただ聞き流している程度でした.しかし,作業療法士として実際に患者さんと接する中で,その言葉の重さを改めて感じることとなりました.学校で学んできた知識や技術は基本中の基本であり,臨床ではそれを応用していくことが求められます.また,十人十色の患者さんと接していく中で,新たな学びや発見があり,患者さんが様々なことを教えて下さる先生のような存在であると思います.

 わたしは作業療法士になって何事も経験するということが大切であると感じるようになりました.臨床において知識や技術の応用が必要だと述べましたが,これは学校で学ぶような解剖学や生理学といったような知識や技術だけではなく,これまでの人生経験全てにおける知識や技術だと思っています.これは勉強や遊びなど,経験することで初めて得られる知識や技術であると思います.自分の趣味はもちろんのこと,少し面倒だと思うような雑用も実際にやってみれば,それも一つの経験になると思います.その一つ一つの経験はきっとどこかで役に立つことがあると信じています.その小さな経験が患者さんとの会話のきっかけになったり,治療への手がかりになったらそれ以上に素敵なことはないと思いませんか.
 だからこそ,これから作業療法士を目指す方々には勉強はもちろんのこと,遊びや趣味,ボランティアなど,多くの経験をしてもらえたらと思います.もちろん,わたし自身もこれから勉強に励むと共に多くのことを経験し,患者さんにとってよりよい治療をしていけるよう頑張っていきたいと思います.

(2009年3月,神奈川県内の養成施設を卒業)

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