【在校生】第19回 笑ってもらいたい!!

笑ってもらいたい!! 皆さんにとって「一番楽しい時」って、どんな場面ですか?

 こんにちは、私は作業療法士を目指して勉強をしている学生です。
 突拍子も無い質問から始まりましたが、楽しい時とはどんな時でしょうか?渋○のデパチカでチョコレートのしたたるケーキを見ているとき?カラオケで周囲を巻き込んで熱唱できたとき?電車に乗ったら隣がキム○クだった時!?
 私の楽しみは、試験や実習が終わった後に、先生や仲間で盛り上がりながら、一杯を…と、それはまぁさておき。

 楽しい時とは人それぞれだと思います。生活もまた然りです。
 しかし、今までの楽しみや生活、生きがい、自分の居場所が変化してしまったら!?明日から、食べる事も、歌う事も、人と話す事も出来なくなってしまったら!!障害や老化に伴い、今までは「普通」に行っていた日常が変わってしまうことはとても怖いことです。
 親指が動かなくなったら、どうやって食事や歯磨きをするのでしょうか?人ごみが怖くなったらどうやって職場に行くのでしょうか?仕事や役割を失い、自分の居場所がなくなってしまったら!!

 4年間、作業療法について学んだ私が受けた印象は「作業療法とは「普通」ということに対する追求」というものでした。
 身体や精神の障害が伴う生活の中で、今までどおりの生活を送るには何が必要か、より楽な方法は無いのか、より楽しく日々を過ごすにはどうすればよいのか。「普通」の生活というのは普段何気なく実施し、探求している事です。
 作業療法とはものすごく砕いて言えば「生活を取り戻せ!!」といった仕事ではないでしょうか…。自分でご飯が食べられること、自分でお化粧が出来ること、自分で歯が磨けること、出かけること、友達と遊ぶこと、日常にはかくれた喜びがたくさんあります。それを患者様と一緒にひとつひとつ取り戻していくのです。

 そういった患者様の姿を拝見すれば、多くの(…しんどい)勉強が役に立つのだ、自分の知識が患者様の生活をアシストできるのだと実感することができます。
 正直な話、養成校での勉強は本当にしんどかったです。骨や筋肉から始まり精神機能、発達の過程から老化の様子まで人間の全てを勉強しなければなりません。歯磨きひとつとっても、姿勢や使用する筋肉、癖や洗面所の形に至るまで、たくさんの視点を必要とします。多くの試験・課題・実習…血と汗と涙、友情、笑い、涙。
 しかし、そういった勉強を重ねれば、いつかどこかにいる患者様の笑顔や喜びにつながる!そう思えば、やりがいは絶大です。
 私は今「患者様に笑っていただける作業療法士」を目標としています。そのために日々お笑いの…ではなく、医療人としての感性を磨いていこうと、仲間とともに頑張っています。

 以上の通り、作業療法は患者様の生活を、笑顔を取り戻すことの出来る職業です。そこのあなた!目の前にいる患者様の御希望をかなえるために、その人の日常を取り戻すために、あなたならどんな事をしますか?親指を使わずに歯を磨くにはどうすればいいでしょうか?人ごみにはどうやって対応したらよいでしょうか?どんな事にやりがいを感じるのでしょうか?どうやったら患者様は笑ってくれると思いますか?
 ヒントは皆さんの生活の中にあります。皆さんはどんな風に歯を磨きますか?人ごみではどうしていますか?どんなときにやりがいを感じますか?いつ楽しいと感じますか?患者様ごとに違った答えがあります。
 あなたにしか出せない答えもあります。皆さんの答えを待っている患者様がいます。答えを探しに、作業療法士になってみませんか?

(2006年11月現在,神奈川県内の養成施設に在籍,4年生)

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