【在校生】第18回 1人の患者様との出会いから・・・

1人の患者様との出会いから・・・ 今だから言えることですが、私は途中で作業療法士への道を諦めようと思っていました。そんな私が「作業療法士になりたい」と思うことができたのは、実習で出会ったある患者様の一言でした。

 「初めて先生(作業療法士)に手を触っていただいたとき、女神様の手だと思ったのよ。」とにっこり。作業療法士のその手から伝わる暖かい気持ち、そして患者様を少しでも良くしてさしあげたいと思うその姿を想像して感動したのです。
 それまでの私は、作業療法士なりたいと思い目指した道であるのに、覚えることの多い解剖学、生理学の授業、身につけなければいけない作業療法の評価技術に圧倒されていました。また実習で目の当たりにする自分の弱さに負けそうになっていました。
 しかし、この患者様の一言に救われて、気持ちを新たにしたのです。

 突然ですが、みなさんは「一期一会」という四字熟語を知っていますか?
 これは、一生に一度だけのこと、またその出会いが一生に一度きりの機会であること、そこから、人との出会いは大切であるという意味でも使われます。
 最終学年での実習を終えた今、この言葉が、作業療法士と患者様との関わりにも似ているのではないかと感じています。なぜなら、一度きりの患者様との出会いで人生が変わるのですから・・・。

 そこで、実習での印象に残ったことについて話をさせていただきます。それは、指導者の先生からの一言です。
 「この人の人生に、あなたは関わることになるんだよ。」
 この一言を聞いたときに、その患者様の動かない手を使えるようにして、より良い生活を送っていただけるようにすることも、患者様の持っている力、治ろうとする回復の機会を妨げてしまうのも私なのだと思い、仕事の責任の重さに耐えられるだろうかと不安になりました。
 しかし、患者様と関わりの中で、回復の変化を感じられることや「ありがとう」の笑顔を見ることができたことは本当に嬉しいものでした。そして、改めてその一言を考えると、患者様と出会い、そしてその患者様の人生に登場(!?) させていただけたことに喜びを感じました。

 そして、私は、作業療法士はその人の疾患や障害だけに目を向けるのではなく、その人の生活全体を含めて、より良い人生を送るために寄り添っていける職業ではないだろうかと考えます。そしてその様なところに、大きな魅力を感じるのです。

 これから医療職に就こうかと考えている方や理学療法士か作業療法士か進路を迷っている方もいらっしゃると思います。目指すときの動機は様々あると思いますし、人それぞれで構わないと思います。ですが、はっきり言って学校の授業は大変です!生半可な気持ちで飛び込むと挫折してしまうかもしれません。
 しかし、「作業療法士になりたい。」という気持ちがあれば、少しくらい険しい道でも歩けると思います。そして、同じ道を目指して頑張る仲間との素敵な出会いもあることと思います。

 私は、国家試験に合格ができれば、春からは作業療法士として新しい一歩を踏み出します。不安や心配なこともありますが、より勉強を重ねて、これからも作業療法の魅力を感じていきたいと思います。そして今、このページを見て下さっている方に、いつか作業療法士として出会うことができたら幸せです。

(2006年11月現在,神奈川県内の養成施設に在籍,4年生)

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