学校を卒業し、就職して4ヶ月近くが経ちました。つい先日、学校の卒業アルバムが実家に届けられ、ページを開くと同時に当時を振り返ってみると・・・山あり谷あり、本当に色んな事があった学生時代でした。
美大への進学を夢見ていた高校時代、「女性は手に職を!」と両親に大反対され、悶々とした日々を送っていました。
「そろそろ進路を決めなきゃなぁ・・・」と考え始めた高校2年生の時、某職業情報雑誌を見て「作業療法(以下OT)」という言葉を知り、「手工芸を利用して患者様のリハビリをする」という部分だけが目に飛び込んできて・・・「美大に行かなくても、美術の勉強ができるんだ!」と勘違いした事が、OTを目指し始めたきっかけです(笑)。
その後は、運良く父の知り合いにOTがいて話を聞く機会があったのと、運良く養成校に推薦合格してしまったのとで、とんとん拍子にOT学生としての生活がスタートしました。・・・しかし、理想と現実との間にギャップがありすぎて、何度も「学校をやめてしまいたい!」と思いました。
学生生活1年目~2年目にかけて学んだ解剖学や生理学、薬理学や運動学・・・当時はまだOTの仕事についてほとんど知らず、「医者になるわけじゃないのに、何で体の中身について勉強しなければならないの?」と、よく同級生と愚痴をこぼしたものです。・・・実際に患者様を受け持ち、患者様の身体に触れる今となって、改めて「もっと身体のメカニズムについて勉強しておけばよかったなぁ」と後悔しています。
学生生活2~3年目から、OTの対象疾患や、その疾患を抱える患者様の評価方法を学び始めました。実際にOTを受けている患者様のお話を聞いたり、評価の練習をさせて頂いたりもしました。現場で働く先生達の姿を見て、高校時代に思い浮かべていたものとはだいぶ違っていたけれど、「私も先生達みたいに、患者様の事を親身になって考え、患者様を支えていけるようなOTになりたいな」と思うようになりました。
学生生活4年目になって、8週間の臨床実習に2回行きました。たった一人で見知らぬ病院、見知らぬ先生達の中に入っていき、初めて一人で患者様の評価や訓練を行って・・・とても心細かったのを思い出します。2箇所目の実習先で、自分のあまりの出来なさに絶望し、また先生方にも悩みを打ち明けられずに一人で抱え込んでしまい・・・その為余計に実習が進まなくなって、途中で自ら実習を断念してしまいました。
その後「自分はOTに向いていない」と思い、学校を辞めて別の道を進もうと考えたのですが・・・学校の先生に「今はゆっくり休みなさい。結論はもう少し後で出せばいいから。」と言って頂き、半年間学校をお休みしました。
・・・半年間の休養中、思いっきり羽を伸ばし、学校の事は忘れてゆっくり休めばよかったのかもしれませんが・・・心のどこかで悔いがあったのでしょう、1ヶ月ほど休んだところで「やっぱり学校は辞めたくない。OTになりたい!」と思い直しました。
・・・ボランティアをしていた障害児の水泳教室で、お子様のお母さん達から「私の子どもは生まれたばかりの頃からOTにお世話になっていて、とても感謝している。」「OTの先生は今の状況だけでなく、これから先の事まで考えてくれる。」「子どもだけじゃなく、私たち家族の事まで考えてくれた。」と聞いて心が揺らぎ・・・その時、1箇所目の臨床実習先で、先生に言われた事を思い出しました。
・・・「ひとつの枠に縛られず、幅広い視点を持って患者様と接するOTになりなさい。」
・・・「機能障害や能力障害だけでなく、その患者様の生活史、社会背景にもアプローチできるOTになりなさい。」
初めて、本気で「OTになりたい!」と思い、また「1箇所目の臨床実習先で出会った先生みたいなOTになりたい!」と思った瞬間でした。
その後の私はというと、「学校を辞めないのなら、じっとしてはいられないな」と思い、半年間の休養中、以前からやっていた障害児の水泳教室のボランティアと、新たに某デイケアでリハビリ助手の仕事をしました。
学校に戻ってからは、半年間の休養中に得たものと、前回の失敗を生かし(?)なんとか臨床実習を終了させ、なんとか学校を卒業し、国家試験も合格して、現在に至ります。・・・今私は、上記の「1箇所目の臨床実習先で出会った先生みたいなOTになりたい!」と思わせた(笑)先生がいる病院で仕事をしています。私はまだまだ未熟で理想とするOT像とは程遠いけれど、尊敬する先生達から御指導を受け、技を盗みながら(笑)毎日を過ごしております。最後に・・・まだOTになって日も浅いのですが・・・
「OTになって、本当によかった!」
そして、迷惑をかけた両親、学校の先生方、その他周りの皆様方、本当にごめんなさい&ありがとうございました。
(2006年3月,神奈川県内の養成施設を卒業)
同じカテゴリーの記事:若手OTRからのメッセージ
- 【若手】No.36 作業療法士になりたいと思ったきっかけ - 2019/3/28
- 【若手】No.35 学校で学んだ事、今感じている事 - 2018/4/26
- 【若手】No.34 志しあれば、必ずそこに道は開ける - 2017/10/20
- 【若手】No.33 その人らしさ、自分らしさを大切に。 - 2016/9/29
- 【若手】No.32 何となくいいなと思って - 2015/1/23
- 【若手】No.31 作業療法と出会い様々な経験を経て。 - 2014/12/11
- 【若手】No.30 作業療法士養成校での主な過程について - 2014/3/31
- 【若手】No.29 日々成長! - 2012/12/11
- 【若手】No.28 作業療法を学ぶ環境の素晴らしさ - 2012/9/27
- 【若手】No.27 夢は大きく - 2012/6/20
- 【若手】No.26 初心忘れべからず - 2012/1/4
- 【若手】No.25 実の詰まった作業療法生活-出会いから現在- - 2011/11/1
- 【若手】No.24 OTの時間 - 2010/6/4
- 【若手】No.23 作業療法士としての1年を経て・・・ - 2010/2/12
- 【若手】No.22 OTになってからの4カ月で感じること - 2009/9/10
- 【若手】No.21 …出会い/気づき/出会い/気づき…=∞ - 2009/6/3
- 【若手】No.20 『作業』という言葉に関心を持って・・・ - 2008/12/24
- 【若手】No.19 OTを目指し、働くなかで感じ得たこと。 - 2008/11/7
- 【若手】No.18 私の作業療法士観 - 2008/8/28
- 【若手】No.17 OTって深い! - 2008/7/24
- 【若手】No.16 自分の進路が辛路でも信路なら真路である - 2008/6/30
- 【若手】No.15 社会人から作業療法士になる - 2008/5/31
- 【若手】No.14 OTってなんだろう~の旅 - 2008/5/8
- 【若手】No.13 OTを楽しんでいます!! - 2007/10/27
- 【若手】No.12 私の学生生活と、OTとしての第一歩 - 2007/9/30
- 【若手】No.11 漠然とした考えが、現実に!?そして、得られたものは・・・。 - 2007/4/29
- 【若手】No.10 働き始めてからの振り返り - 2007/1/30
- 【若手】No.9 学生生活、就職してからの自分を振り返って - 2006/11/27
- 【若手】No.8 ようやくスタートラインに立ちました - 2006/10/9
- 【若手】No.7 学生生活を振り返って・・・ - 2006/8/15
- 【若手】No.5 2年間働いて感じたこと - 2006/6/15
- 【若手】No.4 OTって素敵 - 2006/6/15
- 【若手】No.3 作業療法士になって感じること - 2006/3/31
- 【若手】No.2 作業療法士になってみて - 2005/12/7
- 【若手】No.1 作業療法士としての第1歩を踏み出して - 2005/12/7