【中堅】My 視点 福留大輔OTR

福留大輔OTR(新戸塚病院)

My 視点 自分の作業療法感って何なのか?後輩や学生が「作業療法って何ですかね?」って質問に熱く語ったことを記憶しているが、しっかりと振り帰った事がない。

 振り返り考えてみると、1年目、5年目、10年目、私の作業療法感は少しずつだが変化していることに気付いた。
 ただ一貫として変わっていな事は「全人間的復権」という言葉である。学生時代に作業療法概論でその言葉を知り、実習でバイザーからも熱く教えられ、最近では学校の授業でそれについて講義してきた。
 「全人間的復権」を自分なりには人間らしさの回復と解釈している。だから、その時その時出会った患者さんが少しでも良くなるように、必要な知識、技術、そして諦めない心で臨んできた。
 時には上肢機能・麻痺改善のため運動療法的な技術を身につけてみた。時には入浴動作で下肢装具が必要となり勉強をしてみた。家の建て直しにも関わることがあり住環境に関しての勉強もしてみた。まだまだ、自己研鑽が必要だと感じている。だから、作業療法については、まだまだ上手く語れないと改めて感じた。

 そこで、今回自分なりの視点だが、よく後輩や学生に熱く語っている事を書く事に決めた。私は患者さんを少しでも支援できるようになるため「望まれる作業療法士」と目標を立て、次の3つの心構えを常に思い患者さんに臨んでいる。

1.分からないこと・疑問に思った事はその日に解決する。
2.感動するリハビリテーション(作業療法)をする。
3.「する」のでなく「させて頂き」自分の行動を見つめ直す。

1.分からないこと・疑問に思った事はその日に解決する。

 この意味は、自分の訓練がどれほどプロフィッショナルであるか。今日出来なかった、改善しなかったその訓練を次の日も行って良いのか自問自答する。
 そのため、学会誌やジャーナル等で調べ、先輩からヒントを貰い、考え、次の日の訓練に挑む。もし、何も考えず訓練に挑むとしたら、患者さんはその効果のない前日の訓練を受け、診療報酬を支払う・・・。そんな事が起こってしまう。調べ、ヒントを貰ったとしても効果のない訓練となってしまうこともあるだろう。
 しかし、私の中では効果がなくとも必死に患者さんの為に考えての訓練であれば、患者さんが許してくれるのではないかと、勝手ながら思っている。今は未熟だが1ヵ月後、半年後の私はもっと成長しますから許して下さいと、心の中で手を合わせ臨床へ臨んでいる。

2.感動するリハビリテーション(作業療法)をする。

 この意味は、患者さんが感動するのでなく、自分自身が感動するといった意味だ。
 自分が感動するとは、患者さんの退院やリハビリ終了といったことに出くわす。その時、必ず患者さん又はご家族が「ありがとうございました」とお礼を言って下さる。
 もちろんその時にも感動するのだが、その感動よりも心震える体験をする事がある。ある時突然、患者さんが私の手を握り「ありがとう」と感謝を言って下さるときがある。まだまだ改善途中な段階で今後、もしかしたら介助を要するようになるかもしれない、といった状況なのに。その言葉を聞くと心が震え感動を覚える。その感動が作業療法士になって良かった、もっと頑張らなくてはと明日へのエネルギーとなる。

3.「する」のでなく「させて頂き」自分の行動を見つめ直す。

 するになってしまうと、責任が他人又は他の物に向いてしまう。させて頂いていると考え思うことで責任を自分に向ける事が出来る。
 また訓練時に自分の行動、発言、表情など、その患者さんへの対応が今本当にこれで良かったのか振り返り見つめ直し、再度患者さんに臨ませてもらう。そのような姿勢であれば人間力も向上するのでないかと思っている。

 いつか作業療法を語れるようになり、そして望まれる作業療法士になると改めて目標が出来ました。今回このような機会を下さった県士会には本当に感謝します。

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