【在校生】第3回 理学療法から作業療法への転換

理学療法から作業療法への転換 作業療法(以下、OT)学科を受けようと思ったのは高校3年の11月でした。それまでの志望は理学療法(以下、PT)学科でした。

 高校1年の保健体育の授業時、「眠いなぁ」と思いつつ、ぺらぺらと教科書をめくって眺めていました。
 すると、数ページ目に、「リハビリテーション」という題のページがあり、なぜかものすごく惹かれたのです。もうその瞬間から目が覚め、早くこのページの説明に入らないかとわくわくしていました。そして、そこの説明になった途端今までとろうとしていなかったメモをとり始めたのです。これがリハビリテーションとの出会いでした。
 それから私は歩行訓練などをしているという理学療法士に憧れ、とにかく理学療法士になりたいと思い、その学科を開設している養成校に何度も足を運び、病院見学まで行き、とにかく夢を実現しようと必死でした。

 では、なぜこんなにも理学療法士を目指していた私が作業療法士に転換したのでしょうか。
 その理由は本当に単純でした。ただ、PT学科の倍率が明らかに高すぎて自分にはほとんど可能性がないと思ったからです。だからと言って、OT学科が手の届く範囲であったと言うわけではありません。PTよりは倍率が低い、ということです。
 この時私は初めて「なぜ理学療法士になりたいのか」ということを考えました。しかし、特に理由は見つからず、とにかく「リハビリに関係のある仕事がしたい」という気持ちがあることに気付きました。
 そこで今度は「なぜOTは考えなかったのか」と考えました。するとその答えはこうでした。「私、絵を描くのが苦手だから・・工作があまり得意じゃないから・・」
 それに気付いた時、「えっ!そんなこと?そんな理由でリハビリに関係ある仕事をしたいという夢を諦めるの?絵が上手く描けない人、物が上手く作れない人の気持ちが分かるんじゃないの?」と思ったのです。
 だから私は「リハビリに関係ある仕事に就きたい」という夢に一歩でも近づくためにOTという道を選びました。

 なんだかとても動機は不純していますが、今はこのように決断してすごく良かったと思っています。
 それは、OTという治療方法は患者さんの生活に密着したものだからです。立つ、歩く、などもとても重要なことだと思います。しかし、立てたから○○したい、歩けたから○○したい、と1つが出来るようになると更に何かしたくなるのが人間だと思います。例えば、歩けるようになったから、自分で靴下と靴を履いて出かけたい、と思うようになったとします。
 しかし、症状が原因でそこまで手が届かないということになると何かで補ってそれを行うことになります。そこで使うのが自助具と呼ばれるものであったりするのです。その「もっと○○したい」に積極的に関わっていけるのは作業療法士なのではないかと思います。

 また、実習中こんなことがありました。担当していた歩行の不安定な患者さんが昼間ふらふらと1人で病院から出て行ってしまい、途中で転んで救急車で運ばれて帰ってきたのです。
 なぜそんな行動をとったのか、医師にも看護師にも理学療法士にもその方は話しませんでした。しかし、OTの場面でこの方は初めてその病院から抜け出した理由を語りだし、自分の今の気持ちを話してくださったのです。
 この時私は、忙しい医師や看護師とはゆっくり話をする機会がないが、作業療法という場は患者さんとしっかり向き合うことが出来、また、生活に密着した部分の治療を行っている分、患者さんとの距離が近いために、心を少しでも開いて下さったのではないかと思ったのです。

 だから、私は高校3年の秋に方向転換したことは良かったと思っています。この文章で作業療法の魅力が伝わったかどうかは分かりませんが、とにかくたくさんの人の笑顔に出会えることは間違いありません。大変なことも沢山あります。でも、やりがいは十分ある職業です!!是非この世界に一歩足を踏み入れてください!!

(2005年12月現在,神奈川県内の養成施設に在籍,4年生)

同じカテゴリーの記事:在校生からメッセージ

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wpm/essay/post/30