【若手】No.21 …出会い/気づき/出会い/気づき…=∞

…出会い/気づき/出会い/気づき…=∞ 皆さん、初めまして。私は『就労支援センター』で働く2年目の作業療法士(以下、OT)です。
 『OT』との出会いは、高校進学を控えた春休みでした。テレビで下肢切断の方がスキーをするまでの軌跡を追ったドキュメンタリー観たのがきっかけです。
 その中で理学療法士(以下、PT)という職業を知り、偶然にも翌日、職業一覧紹介という本が手に入り、PTを調べると、隣のページにOTの掲載がされていました。
 その紹介記事の中で、「絵画、手芸、陶芸を通して」と、いうキーワードが目に飛び込んできました。当時、物創りに興味があった自分にとっては魅力的な言葉でした。また、ドキュメンタリー番組やその本の紹介文を見て、『障害を治すということよりも、障害を抱えてどう生きていくかということに関われる職業』と、いう漠然とした想い込みから、『自分を生かし、自分のために仕事ができる職業ではないか』と、いう安易な想いが生まれました。そんなことから、まずは作業療法を学んでみたいと想い、その道の学校に進もうと決めました。

 高校生活では、特に進学については迷うことはありませんでしたが、如何せん、思春期真っ只中ですから、色々なことに夢見がちで、勉強など手につきません。その結果、真直ぐな道ではなく、様々な曲線を描いて作業療法の道には進みました。  
 大学生活では本当に様々な出会いがありました。その中で色々な経験を通し、自分と向き合い、落ちたり・上がったりの連続でした(今でもですが…)。振り返ると、勉強はしませんでしたが、よく悩み、動き、迷っていたとは思います。

 そんな学生生活の中で、最も貴重な出会いと経験だったのは、臨床実習です。
当事者の方に貴重な時間を提供して頂き、その中で座学では学べない多くのことを教えて頂きました。また、臨床指導者の先生方には、当事者の方と真剣に向き合うという姿勢を教えて頂きました。今現在働いている上で、全てが貴い経験となっており、感謝してもし切れない出会いです。
 また、今でも実感しているのは、学生時代は学校の勉学以外で学ぶべきことも多く、大切だったということです。(自分の場合はそれだけでしたが…。)
 臨床に出れば、数限りない人達と出会います。その一人一人に接していく中で無駄な経験は一つもなく、公衆の面前では言えない話や恋愛話、飲み会での失敗談、バイトの話、政治・経済の話(最近は本当に深刻な問題です)、芸能人ネタ、等々。何でも役に立ちます。
 専門職だからといって、他の業界に疎いのはナンセンスであり、対人援助職である限り、社会との繋がりを多く持っていることは必要なことだと実感しています。
 これを見て頂いている学生の方がいらしたら、余計なお世話を一言言わせてください。学生時は実習や座学に追われ時間がないとは思いますが、時間がない理由を探さずに、なんとか時間を工面して、学生特有の自由さを有効に使い、多くの人達に出会い、触れ合い、経験し、自分と向き合うことが必要だと思います。(もちろん学校の勉強は大事です。すべき時にしておかないと、そのツケは必ず自分に返ってきます…。)
 いくら休みが少ないといっても、あれだけ休みがあるのは学生の時だけです!!(今思うと、本当に羨ましいです…。)

 最後に今勤務している職場について少しだけ伝えさせて頂きたいと思います。(あくまで、私の所属先の話です。)
 現在、私が勤務している職場は、地方自治体よりの委託事業として三障害を対象(手帳の有無問わず)とした就労支援事業を行う『就労支援センター』という機関です。職員は五名おり、『OT』は私一人です。この領域では、今のところ特に必要な資格はありません。
 主な業務内容として、連絡調整、相談業務、求職支援、定着支援、離職支援、余暇支援です。他にも就労ということを切り口に、生活全般に関わる業務もしています。例えば、健康管理や金銭管理などへの助言、提案等々。就労は生活の中の一部分であり、それ以外の周辺領域の問題と切っても切り離せません。よって、できる範囲の中で業務として何でも行います。要は、よろず相談屋みたいなものです。
 また、関連機関とのやり取りも多く、企業主催の会議や勉強会(飲み会含む)、行政機関や地域関連機関との会議等にも多く参加しています。
 こんな毎日を過ごしているため、特に『OT』という資格にこだわっている暇はありません。だからといって、『OT』が役立っていないわけでもありません。
 『OT』のイメージとは異なるかもしれませんが、要は『ミクロ』か『マクロ』の視点の違いだと自分としては感じており、自分が学んできた作業療法とズレがあるとは感じていません。もちろん、不安や心配なことは数限りないですが、それはどこにいっても付き物ですし、希望して就いた就労支援という領域は、本当に色々な分野の方々との出会い、経験の連続で、学生時代の自分では考えられない環境であり、想像以上に刺激的な毎日です。

 これからも様々な出会いの中で、悩み、動き、迷う…の繰り返しだとは思いますが、その無限の可能性の中で、その時できる支援をその時全力で提供できる支援者で有り続けられるよう、一つ一つの出会いを大切にしていきたいと想っています。

(2008年3月,栃木県内の養成施設を卒業)

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