【中堅】春を迎える皆さまへ・・・ 野津創OTR

野津創OTR(小澤病院)

春を迎える皆さまへ・・・ 4月、期待と不安がふくらむ節目の季節が近づいています。特に今年は医療保険制度改革に伴う診療報酬の改定及び介護保険改正に伴い混乱の中で迎える春になりそうです。
 様々な憶測と情報が飛び交う中、条文の狭間で一喜一憂している自分に対し、「作業療法士としての核は変わらんだろうが」ともう一人の自分が叱責します。
 私よりも少しだけ若い世代に何を伝えようかと考えた時、夢のある明るい話題よりも打算的な愚痴話が多くなりそうなのをぐっと堪えて私からのメッセージです。

 作業療法士を目指して勉強中の皆さまへ。
 現在のリハビリテーションには専門性と個別性を重視した短期集中、効果重視のキメの細かいサービスを提供することが望まれています。
 そのためには質の高いマンパワーの拡充が急務であり、急性期医療では専門性確保に必須、在宅分野では身体機能、精神機能、日常生活指導、福祉機器、家屋改造等多岐にわたるニーズに対し適任、作業療法士活躍の場は年々広がっています。1日も早く資格を取得して同じ現場で働きましょう。

 新人さんと呼ばれる作業療法士の皆さまへ。
 この世界に足を踏み入れてしまったらもう覚悟を決めて下さい。各人の置かれている土俵の上で一緒に作業療法士としての苦悩と快楽を味わいましょう。
 うらやましいのは「知らないから教えてください」って堂々と言える事。言われても怒りませんよ、私だって分からないけど分かった振りをしてるだけですもの。「自分で調べろ」といっては誤魔化します。問題は一緒に解決しましょう。
 但し目線は少し上げておくこと。自分の足元の問題を片付けつつ常に医療制度の将来、介護保険、介護予防の将来そしてリハビリテーションの将来を見つめておいてください。
 中堅と呼ばれるようになった時にリハビリテーションに関する問題や今後の展望について何も語れない作業療法士にだけはならないようにしてください。また、そのような問題に対し建設的に考えられる作業療法士になれるように一緒に働きましょう。

 医療・介護・在宅、私の土俵はいろいろですが、どの分野でも作業療法の基本は同じです。
 一人のケースを定点ではなく動線で関わることで作業療法をはじめリハビリテーションサービスは個々の制度にはない効果を持つのです。どの分野でもきっと楽しめますよ、この仕事。

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