【若手】No.26 初心忘れべからず

著者近景 こんにちは。
 私は身体障害領域の急性期病院で働く1年目の新人作業療法士です。
 毎日目まぐるしく過ぎていきますが、目標であった作業療法士としての生活を楽しんでいます。

 私が作業療法を知ったのは進路選択の期限が迫っていた高校2年生の時でした。それまでは作業療法の「さ」の字も知りませんでしたが、なんとなく興味を持っていた音楽療法を作業療法で使ってみれば良いのではないかという理学療法士の叔父からのアドバイスを受け、もともと人と接することが好きということもあり、作業療法士を目指すことを急遽決めました。
 それから何校かのオープンキャンパスに足を運び、学校選びを始めました。私が学校選びをする際に重要視したポイントは授業のカリキュラム内容、国家試験・就職状況などはもちろん、ここでなら作業療法について多く学び、充実した学校生活が送れると想像できる学校であることでした。そしてこのポイントにあった学校を第一志望とし、その学校に無事に入学することができました。

 そうして充実した夢のキャンパスライフが過ごせる!!!という期待をこめて始まった学校生活でしたが、現実は違いました。
 高校生までは暗記すればなんとかなる授業ばかりでしたがそうはいかず、実技が始まるとついていけないことが多く、実技テストでは不合格になることもありました。2年次からは病院実習も始まり、4年次での8週間にわたる臨床実習では自分の知識不足に涙を流す日もありました。私には作業療法士は向いてないのではないかと思う時もありました。そんな時に支えになってくれたのは同じ目標を持つクラスの仲間、先輩作業療法士である諸先生方でした。
 また臨床実習では様々な経験をさせていただきました。精神科領域での実習では音楽療法に興味があって作業療法士を目指した、ということをスーパーバイザーに相談したところ、実際に音楽療法を経験させていただくことができました。私の拙い進行でも喜んでくれた患者様の笑顔は忘れられません。また身体障害領域にはそれほど興味がありませんでしたが、臨床実習で実際に治療させていただき、患者様の回復過程を経験したことで、身体障害領域での作業療法にも改めて魅力を感じることができました。このような経験から作業療法士を目指すことを選んで間違いはなかったと思えるようになりました。また悩んで悩んで就職先は身体障害領域希望に変更しました。作業療法の進むべき道は1つではないことも魅力の1つだと思います。

 無事に実習も終わったところで一安心ではありません。最大の難関、国家試験に合格しなければ作業療法士にはなれないのです。クラスの仲間と協力しながら勉強をして今までの知識の集大成を作っていくことは辛かったですが、今まで学習してきたものと臨床実習で得た知識が全てつながることで、あんなに辛かった勉強がいつのまにか楽しく感じるようになっていました。また、入学当初は曖昧だった作業療法士としてのイメージが臨床実習を経験したことで確かなものになり、より一層勉強に力が入ったのです。

 そして国家試験に合格し、4月から無事作業療法士として働くことができています。しかし今はまだ1年目で経験不足です。生涯学習と言いますが本当にその通りだと思います。目の前にいる患者さんは十人十色で、その方にあった作業療法を提供するためには日々の勉強が必要です。今は経験を増やし研修会に参加して知識をつけ、一日でも早く信頼される立派な作業療法士になれるように努力していきたいと思っています。また身体障害領域でも音楽療法を行ってみたいという夢もあります。作業療法は作業療法士の腕次第で様々な可能性があると信じています。
 悩むことも多くありますが、そんなときは作業療法士になりたいと思った初心を思い出して日々過ごしています。

 これから作業療法士を目指す人、決して楽な道のりではありません。しかし臨床で働く自分の姿を想像すればどんなことも乗り越えられると思います。そして、なんといっても臨床はやはり楽しいものです。患者様の笑顔は原動力になります。そんなみなさんといつの日か共に働けることを祈っています。

(2011年3月卒業)

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